Works 185号 特集 ニッポンの“課長”の処方箋
会社の人事は管理職問題の深刻さをどこまで把握しているのか
管理職の役割、負荷を人事はどう見ているのか。
人材開発や組織開発支援を行うリクルートマネジメントソリューションズが本人と人事双方に調査した比較データから意識のギャップを明らかにする。
【会社の組織課題】
「管理職の負担過重」がトップに
管理職本人、人事ともに、会社の組織課題のトップは、ミドルマネジメント層の負担の過重で、これは2020年の調査開始以来初だという。ただ、調査を担当したHRDサービス推進部マネジャーの石橋慶は、「意外な結果」と話す。「顧客の人事担当者は、人と組織の課題解決を現場の管理職に帰責する傾向がありました。管理職の役割や仕事が増え続けるなかで、『これ以上は無理』という認識が人事に芽生えたところだと思います」
しかし、だからといって明確な打ち手を講じているかというとそうでもない。「研修を増やせば負荷が上がることは認識されていますが、人事担当者が、各現場の管理職の仕事について解像度を上げるのは容易ではない。支援したくても何を変えるとどの程度負荷が減るのか・逆に逼迫するのかが見えず、手が出せない状況だと考えられます」と、同部主任研究員の木越智彰は指摘する。
会社の組織課題Top5
【管理職への期待・管理職の役割】
業績達成のために育成せざるを得ない
管理職への期待・管理職の役割については、人事担当者の回答のトップ3をピープルマネジメントに関する項目が占めている。管理職本人も上位2つにメンバーの育成と部署内の人間関係の円滑化を挙げているが、同時に業績への意識も高い。「本来、業績達成こそ管理職の責務だという意識は、管理職のほうが強く持っていそうです。ただ、人を増やしたくても増やせない、採用したくてもできないという状況では、メンバーの育成やモチベーションの維持・向上をしなければ業績が達成できない。だから人材開発や組織開発に取り組まざるを得ない。管理職のそんな苦しさが滲み出た結果なのだと思います」(石橋)
管理職に期待していること・管理職の役割Top5
Text=入倉由理子
Photo=リクルートマネジメントソリューションズ提供(石橋、木越写真)
石橋慶氏
リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス推進部 トレーニングプログラム 開発グループ
マネジャー
木越智彰氏
リクルートマネジメントソリューションズ
トレーニングプログラム 開発グループ
主任研究員