分析3 学習行動のつながりを探ってみた(3)

2019年06月27日

分析③-3

学校型・経験型学習がマネジャー役割に、
対人型・経験型学習がプレイヤー役割に活きています。

学んだことを活かして、新たな役割を担う。そのようなつながりは生まれているのでしょうか。あるステージの学習行動と、次のステージでの役割とのつながりを見ることで、その検証ができます。ここでは、15ページの7つの役割を「マネジャー役割(マネジャー・リーダー・アドバイザー)」「プレイヤー役割(プレイヤー・プロフェッショナル・フロントランナー)」「サポーター役割」の3つに分類し、4つの学習行動とのつながりを見ていきます。

分析の結果、次のステージのマネジャー役割、プレイヤー役割への関連性が高い学習行動が浮かび上がりました。ひとつは、学校型学習がマネジャー役割へとつながるパスです。集合研修を義務づけられるなどの体系立てられた学習行動を経験することが、マネジャー役割へのアサインにつながるという構図は、日本企業の職務任用の構図を映し出すものです。一方、プレイヤー役割は、対人型学習によって促されています。上司や同僚などの他者から学ぶことでプレイヤー役割を果たす準備ができるのでしょう。

経験型学習は、次のステージのマネジャー役割とプレイヤー役割双方へのつながりを生んでいますが、つながり方は異なっています。マネジャー役割にはステージ⑤まで影響しますが、プレイヤー役割に影響するのはステージ③まででした。マネジャー役割は学校型学習からのつながりが明確ですが、経験型学習からの影響も長期にわたります。ステージを問わず、両者の学習行動を行うことで、マネジャー役割を担う確率は高まります。一方で、プレイヤー役割は、経験型学習の効果が初期段階だけにとどまるので、プレイヤー役割を新たに獲得したり、磨きをかけるには、対人型学習を意識するなど異なる学習行動を組み合わせることが必要となるでしょう。

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text:辰巳哲子
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版