分析3 学習行動のつながりを探ってみた(4)
分析③-4
ステージ②での社外活動経験が、
学校型・内省型・経験型学習を生み出しています。
仕事以外の活動に従事したり、様々な社会的役割を担うことが、キャリア展望を高めるといわれています。私たちが昨年実施した「100年ライフ調査」では、どのようなコミュニティに所属して活動しているかを調査していますが、仕事以外のコミュニティに参加している人のキャリア展望は総じて高く、最も高かったのは「ボランティアやNPO活動」に参加している人たちでした。そうしたコミュニティへの参加が、あらたな学習を誘発しているのかもしれません。では、どのような「社外活動」が、どのような「学習行動」を促進するのでしょうか。
ここでは、調査設問にある社会的役割の項目を活用して、◎社会活動(家族の一員として・地域の活動)、◎芸術・趣味・スポーツなどの活動、◎自己啓発活動の3つの社会活動が、次のステージでの学習行動に及ぼす影響を検討しました。その結果、ステージ②での社会活動・自己啓発活動が、次のステージでの学校型、内省型、経験型学習を促進していることが明らかになりました。
キャリアのステージ②は、多くの経験を得て、スキルも高まり、自分なりに成長を実感する時期です。学習行動もそれなりにしていることが考えられます。その時期に家族や地域と深く交わったり、仕事を離れた自己啓発的な活動に従事することが次のステージでの学習行動につながっています。ステージ②において、社外活動をすると、より自分に必要なスキルを自覚したり、次のキャリアの展開を考えたり、目標を定めたりするのに有益で、そのことが、学習行動の促進に影響していると考えられます。このことから、初期キャリアが終わったら、いったん外のことに目を向けてみる時期を意図的に作ることが、長期的なキャリアには必要だということがわかります。