分析3 学習行動のつながりを探ってみた(2)
分析③-2
初期の内省型と対人型の学習行動が、
学習行動の連鎖を引き起こしていました。
前回の記事(分析③-1)でご紹介した通り、「学びスタイル」の確立は、100年ライフのキャリアにとって極めて重要なテーマです。では、そのような「学びスタイル」を確立している人たちは、これまでどのように学んできているのでしょうか。どのような「学習行動」を重ねてきているのでしょうか。その検証を行うために、まず、対象を「学びスタイルが確立している群(確立群)」と「学びスタイルが確立していない群(未確立群)」に分け、それぞれの群について、「あるステージでの学習行動が、次のステージでのどのような学習行動にどのように影響しているのか」を分析しました。分析は、15ページの役割分析同様に、ステージ①からステージ⑤までを経験されている方を抽出して行いました。
分析の結果、確立群では、キャリア初期における「内省型」「対人型」の学習行動が、その後の幅広い学習行動の経験につながり、キャリア展望やキャリア満足に影響していることが明らかになりました。矢印の分岐が最も多い「内省型」と「対人型」の学習行動が、その後の長期的な学習行動の継続に影響しているのです。
ステージ①で、自分の今後の生き方や考え方について考えたり、価値観や考え方を柔軟に変えたりする内省型学習をしていると、ステージ②での多様な学習行動が促進されていました。そして、ステージ③までで学習行動の広がりは収束し、その後は他の学習行動へ展開することはありません。また、ステージ⑤で対人型の学習行動をしていることが、キャリア満足もキャリア展望も高めていることがわかっています。一方で、未確立群については、キャリア満足やキャリア展望につながる学習行動の経路は見られませんでした。