Introduction 「広げる×深める」で、キャリアを考える(3)
Introduction 3
波形は一人ひとり実にさまざま。
「広げる」と「深める」の変曲点に着目しました。
1200人のキャリア曲線は、一人ひとりの仕事履歴、人生履歴を映し出したもの。ひとつひとつが個性的であり、一つとして同じものはありません。緩やかな曲線、激しく左右に振れる曲線など、見ていて飽きません。その一番の特徴は「広げる」から「深める」へと転じる変曲点(広げる変曲点)、「深める」から「広げる」へと転じる変曲点(深める変曲点)の存在。それぞれの変曲点が、一人ひとりのキャリア曲線の中にいくつあるか、着目してみました。
「広がる変曲点」の平均値は3.1。変曲点が2ないしは3の人で過半数を占めていました。「広げる変曲点」が1あるいは0と少ない人も15%弱と一定数いますが、4以上の人はその倍以上の33.2%いました。「深める変曲点」の平均値は1.9。1の人が38.8%と最も多く、ついで2の30.9%。ゼロの人も5%強いました。「深める変曲点」が3以上の人は、25%弱と4人に1人にも満ちません。「広げる変曲点」と「深める変曲点」の総数は、3526と2136。比率をパーセント換算すると62:38。この数字は、それぞれのゾーンの滞在期間を表しているとも取れます。「広がるゾーン」に6割強、「深めるゾーン」に4割弱の期間滞在する、そんな日本人の平均像が、この数字からは浮かび上がってきます。
キャリア曲線についての特徴を、もうひとつ。曲線が切れている、つまり、働いていないブランク期間がある人が35%存在していました。女性が高いですが男性もたくさんいます。期間は数か月から20年以上の長期までさまざま。出産、育児に限らず、色々な理由で、ひとは働くことを中断しています。これもマルチサイクル化の証左といえるでしょう。キャリアにブランクがあることは、これまで否定的にとらえられてきましたが、ブランクがあることが当たり前な時代がすでに到来しています。