Introduction 「広げる×深める」で、キャリアを考える(4)

2019年05月08日

Introduction 4

ステージの数は3〜5が主流派。
人はすでにマルチステージなキャリアを歩んでいます。

人生100年時代という言葉の火付け役となった書籍「ライフシフト」。お読みになった方も多いと思います。この本の中に「3ステージ型人生は終焉する」というメッセージが出てきます。教育、仕事、引退という3つのステージに区分けられる生き方ではなく、仕事がいくつものステージに分かれたり、仕事の後に教育の期間があったり、というマルチステージ型の人生になる、という指摘でした。

しかし、です。自身の仕事人生を、ひとつのステージでとらえている人は多くはないのではないか。これまでの仕事人生を振り返ると、そこにはいくつかの節目があり、いくつかのステージに分かれている、というように人はとらえているのではないか。私たちはそのように考えました。そして、キャリア曲線の中に点在する変曲点や、波形の左右への変化は、そのようなステージの移り変わりと密接に関係しているのではないか、と考えました。集まったワークシートに描かれたステージの数は、4つの人が最も多く、24.0%。3〜5のいずれかの数であった人は67.4%を占める主流派です。一方で、6以上のステージ数を書き込んだ人も25.3%を占めます。

年齢とともにステージ数は増える傾向にはありますが、緩やかなものでした。勤めている会社の規模や就業形態などとの関係を見ても、強い傾向は読み取れません。

年収データからは、関係が読み取れました。現在年収100万円未満の方々のステージ数は少なく、700万円以上の方のステージ数は多い傾向にあります。年収が高まっていく過程には、いくつかの節目が存在するとみることができます。

職種についての違いはほとんど見られませんでしたが、公務員のステージ数は顕著に多くなっていました。ローテーションによる異動、それも前職との関連があまりない異動が多い公務員の特徴が表れているといえそうです。

text:豊田義博
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版