ニューヨーク市、AIを活用した採用を規制する新法の施行を2023年4月に延期、ほか

2023年02月02日

海外HR Techニュースリリースまとめ(2023年1月)

ニューヨーク市は、AIを活用した採用を規制する新法の施行を2023年4月に延期した。
Metaは、2月22日にFacebookの企業ページから求人情報を作成し、無料で投稿できる「Jobs on Facebook」のサービス提供を、すべての国で中止する。
また、Upworkの調査によると、2022年の米国のフリーランサーの人数は6000万人となった。

【新機能・新サービス】
LinkedIn、新たなキャリアパスを提案する機能を2023年に実装予定

LinkedInは、2023年に予定している新サービスの一部を発表した。その1つはパーソナライズドされた「ジョブコレクション」を提案する機能で、ユーザーは、求人の検索を行わずに、新たなキャリアパスを見つけることができる。当面は米国内の一部の業種を対象とし、今後拡大する予定である。(12月23日LinkedIn)
https://www.linkedin.com/pulse/introducing-big-ideas-2023-job-collections-video-captions-tomer-cohen/

Meta、2023年2月22日に「Jobs on Facebook」機能の提供をすべての国で中止

Metaは、Facebookのユーザーに対して、2023年2月22日にすべての国でFacebookの企業ページから求人情報を作成し、無料で投稿できる「Jobs on Facebook」の提供を中止すると通知した。Metaは前年2月に、米国とカナダ以外の国や地域での同機能の提供を中止している。(12月14日Adweek)
https://www.adweek.com/media/jobs-on-facebook-feature-to-disappear-feb-22/

【法規制】
ニューヨーク市、AIを活用した採用を規制する新法の施行を2023年4月に延期

DCWP(ニューヨーク市消費者・労働者保護局)は、自動雇用判断ツールの使用に関する法律「Local Law 144」の施行を、2023年4月15日に延期すると発表した。
DCWPによると、同法は当初2023年1月1日に施行される予定だったが、多数のパブリックコメントが寄せられたため延期した。同局は、2022年11月に1回目の公聴会を開催、今後2回目の公聴会を予定している。
Local Law 144は、AIや類似の技術を活用した自動雇用判断ツールについて、雇用主がバイアス監査を行い、市内に居住する従業員や求職者にツールの通知を行うことを義務づけるものである。
HR業界では、同法への注目が高まっている。イリノイ州では以前、雇用主によるビデオ面接の利用と分析を規制する法律が成立したが、Local Law 144は、雇用プロセスにおけるAIやその他自動化技術の利用を規制する米国初の法律である。

DCWPには人事の領域内外のステークホルダーから、同法に関するパブリックコメントが寄せられた。たとえば、Society for Human Resource Management(米国人材マネジメント協会)は、DCWPの取り組みを称賛する一方で、自動雇用判断ツールの定義や、テストする候補者プールの範囲など、バイアス監査の要件に関してさらなる明確化を求める意見書を提出した。
またIndeedなどは、DCWPに対し、監査規定が人口統計分類別の選考通過率などの測定を雇用主に求めているか、サンプルサイズの指標を含める必要があるかを明確にするよう要請した。LinkedInは、法律における自動雇用判断ツールの定義の修正などを提案した。
一方、New York Civil Liberties Union(ニューヨーク自由人権協会)は、「Local Law 144は候補者と労働者に対する包括的な保護を提供するには程遠い」という意見を述べた。DCWPに対し、自動化ツールの適用範囲の拡大、バイアス監査の要件の拡大、影響を受ける人々への透明性と通知など、規則の強化を求めている。

2022年以降、AIやアルゴリズムを活用した自動雇用判断ツールは、連邦レベルでも、幾度も議題に挙がっている。EEOC(雇用機会均等委員会)とDOJ(米司法省)は同年5月に、雇用主に対し、採用、業績管理、賃金決定、その他の雇用条件におけるAIへの「盲目的な依存」を避けるよう注意を促す文書を発表した。(12月14日HR Dive)
https://www.hrdive.com/news/nyc-ai-in-hiring-law-delayed-enforcement-april-2023/638793/

【調査】
Upwork調査、2022年の米国のフリーランサーの人数は6000万人に増加

Upworkの「2022 Freelance Forward」によると、過去1年間にフリーランスの仕事を行った米国人は約6000万人だった。就業者全体に占める割合は39%で、前年から3ポイント上昇した。また、フリーランサーが1年間に得た総収入は約1兆3500億ドルで、前年から500億ドル増加した。そのほかの主な調査結果は下記のとおりである。

  • Z世代の43%、ミレニアル世代の46%が過去1年間にフリーランスの仕事に就いた
  • フリーランサーの51%(約3100万人)が、コンピュータープログラミング、マーケティング、IT、ビジネスコンサルティングなどのナレッジサービスに従事した
  • 従来の雇用とフリーランスの仕事を組み合わせて複数の収入源を得ている就業者の割合は17%で、前年から3ポイント上昇した
  • 修士号以上の学位を持つフリーランサーの割合は26%で、前年から6ポイント上昇した
  • キャリアとしてのフリーランスに対する認識が「よりポジティブになってきている」と回答したフリーランサーの割合は73%で、前年から5ポイント上昇した

同調査は、Edelman Data & Intelligenceが、2022年9月21日~2022年10月7日に、18歳以上の社会人3000人を対象にオンラインで実施した。回答者のうち1164人がフリーランサー、1836人が非フリーランサーであった。(12月13日Business Wire)
https://www.businesswire.com/news/home/20221213005068/en/Upwork-Study-Finds-60-Million-Americans-Freelancing-in-2022

Glassdoor、「2023年最高の職場ランキング」を発表

Glassdoorは「2023年最高の職場ランキング(Best Places to Work)」100社を発表した。テクノロジー、製薬、金融、コンサルティング、製造業など、さまざまな業界の企業がランクインした。これらの企業は、給与の引き上げ、福利厚生の改善、ワーク・ライフ・バランスの重視などに取り組んでいる。
ランキングは6つの部門に分かれており、対象国は米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ。米国については、「大企業トップ100社」(従業員1000人以上)と「中小企業トップ50社」(従業員1000人未満)を発表した。
大企業トップ100社の1位は、カスタマーサクセスプラットフォームのGainsightで、従業員から「職場の多様性がこれまで働いてきたどこよりも高い」「会社のリーダーが従業員の成長を情熱的にサポートしてくれる」と評価されている。
2位は、クラウドストレージのBoxで、「明確なキャリアフレームワークと指標があるので、自分がいつ昇進できるかがわかる」「Black Excellence Network、Box Women's Network、Families @ Boxなど、あらゆる従業員のためのERG(従業員リソースグループ)がある」とのレビューが寄せられている。
3位はコンサルティング会社のBain & Companyで、「会社が従業員の成功に投資してくれる」「同僚は楽しく、EQ(心の知能指数)が高い」「プロジェクトは面白く、待遇も素晴らしい」「人材開発制度は従業員の急成長を促す」と評価されている。
ランキングは、2021年10月19日~2022年10月17日に米国に拠点を置く従業員が投稿したレビューにもとづく。米国の大企業トップ100社の上位10社は下記のとおりである。

順位 企業名
1位 Gainsight
2位 Box
3位 Bain & Company
4位 McKinsey & Company
5位 NVIDIA
6位 MathWorks
7位 Boston Consulting Group
8位 Google
9位 ServiceNow
10位 In-N-Out Burger

(1月10日Glassdoor for Employers Blog)
https://www.glassdoor.com/employers/blog/best-places-to-work-revealed/

【資金調達】

Beamery、オンタリオ州教職員年金基金傘下のTeachers’ Ventures Growth(TVG)などから5000万ドルを資金調達。企業評価額は10億ドルに達し、「ユニコーン」(評価額10億ドル以上の未上場企業)の仲間入りを果たした。Beameryは、2021年6月にも資金調達している。英国発のタレントライフサイクル管理プラットフォームのBeameryは、2022年にフォーチュン500の顧客を大幅に増やした、2021年6月以降、BBCやUberなどのフォーチュン500の顧客からの収益は250%以上増加し、売上継続率(NRR)は135%に達した。企業は、Beameryのプラットフォームを利用することで従業員が持つスキルやポテンシャルを把握し、社内外からの人材の発掘、定着、スキルアップ、人材配置を効果的に行うことができる。

https://www.prnewswire.com/news-releases/beamery-raises-50-million-in-series-d-funding-to-help-businesses-make-more-agile-and-effective-decisions-on-talent-301700944.html

Darwinbox、インドの国営銀行最大手のState Bank of Indiaから500万ドルを資金調達。資金はマーケティングの強化に充てる。SaaS人事管理プラットフォームのDarwinboxは、企業700社の従業員200万人超が利用し、採用、勤怠、給与、経費精算、人事情報の管理やタレントマネジメント、ピープルアナリティクスの機能を備える。Darwinboxは、2022年1月にもMicrosoftから400万ドルを資金調達しており、企業評価額は10億ドルを超える。

https://www2.staffingindustry.com/eng_member/Editorial/Daily-News/World-Tech-roundup-Gigged.AI-Arctic-Shores-Darwinbox-64249

ShiftKey、医療業界に特化した民間投資会社のLorient Capitalなどから3億ドルを資金調達。企業評価額は20億ドルを超える。ShiftKeyは、オンコール勤務の看護師などの医療従事者と人手不足に悩む医療機関をつなぐシフト管理プラットフォームで、1万以上の医療機関が利用している。医療従事者は、ShiftKeyのアプリから時給制の求人の検索、応募、給与の受け取りができる。近年多くの看護師が、フルタイム雇用ではなく、より報酬の良い、短期のギグワークやトラベルナースの仕事に移行している。

https://news.crunchbase.com/health-wellness-biotech/employment-shiftkey-fundraise/

TEXT=杉田真樹

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