Metaが米国とカナダ以外の国・地域でFacebookの求人情報の無料投稿機能を中止、ほか
海外HR Techニュースリリースまとめ(2022年1月)
Metaは、Facebookの求人情報の無料投稿機能を米国とカナダ以外の国や地域で中止すると発表した。中止の理由は明らかにしていない。
M&Aでは、リモートで働く社員の採用および労務管理プラットフォームのDeelが、リモートワークで働く従業員の協働やコミュニケーションを促進するプラットフォームのRootsを買収した。
資金調達関連では、世界各国からリモートで働く優秀なソフトウェア開発者を発掘する採用プラットフォームのTuringが投資会社から8700万ドルの出資を受け、「ユニコーン企業」(評価額10億ドル以上、設立10年以内、未上場のテック企業)となった。また、製造、小売、物流などのフロントラインワーカーの採用プラットフォームのWorkStepも2500万ドルを資金調達した。
【新サービス・新機能】
Meta、米国とカナダ以外の国・地域で「Jobs on Facebook」機能を中止
Metaは、Facebookの企業ページから求人情報を作成し、無料で投稿できる「Jobs on Facebook」機能を、米国とカナダ以外の国や地域で2月22日に中止する。米国とカナダの企業は引き続き、同機能を無料で利用でき、求人情報や応募者の管理も行うことができる。求職者も、引き続き、求人情報の「今すぐ応募」をクリックし、応募することができる。(12月21日 Meta for Business)
https://www.facebook.com/business/help/982945655901961?_rdc=1&_rdr
LinkedIn、音声によるライブイベント参加機能を近日公開
LinkedInは、オンラインイベントのライブ配信機能「LinkedIn Live」に、音声によるイベント参加機能「Audio Events」のベータ版を追加すると発表した。今春には、動画版の機能も公開する。目的は、ユーザーが積極的に会話に参加できるインタラクティブなイベント体験の提供である。ユーザーは、イベント中にほかの参加者のフォローやメッセージの送信を行う。イベント終了後も、関係を維持し、会話を続けることができる。
2021年の1年間で、LinkedIn Liveのイベント作成数は150%増加、イベントの参加者数は231%増加した。ライブイベントで取り上げられたトピックは、「コミュニケーションの課題解決」「2022年の目標設定」「サイバーセキュリティのトレンド」「銀行業界の展望」などであった。
イベントを主催するホストは、LinkedIn上で既に多くの人々とつながっている個人やクリエイターを対象とする。(1月7日 LinkedIn)
https://www.linkedin.com/pulse/virtual-events-here-stay-how-were-investing-build-better-jake-poses/
【M&A】
Deel、Rootsを買収
世界150カ国からリモートで働く社員やインディペンデントコントラクターの採用、給与の支払い、法令順守をサポートするプラットフォームのDeelは、リモートワークで働く従業員の協働やコミュニケーション促進プラットフォームのRootsを買収した。
Rootsは、SlackやMicrosoft Teamsなどの社内コミュニケーションツールと連携し、世界中に分散するチーム間の有意義な交流を促進する。オンボーディング、1on1ミーティング、チーム内コミュニケーション、リファラル、有給休暇の管理をサポートするさまざまなアプリを通じて、企業の人事管理プロセスを合理化し、従業員の健康状態や生産性にプラスの影響を与え、燃え尽き症候群を減らす。顧客企業はGitlab、Toptal、Miro、Affinityなどで、65カ国以上で利用されている。(1月14日 Business Wire)
https://www.businesswire.com/news/home/20220114005038/en/Deel-Hires-Casey-Bailey-to-Lead-HR-Acquires-HR-Software-Company-Roots
【調査】
IndeedとOECDが調査結果を発表、パンデミック後もリモートワークは存続するか?
IndeedとOECDが20カ国の求人情報を分析した結果、全求人に占めるリモートワークが可能な求人の割合は、2020年1月では平均2.5%だったが、2021年4月には平均7.9%と3倍以上になった。9月時点でも7.5%と、ピークに近い水準にとどまっている。この増加は、ロックダウンなどの政府による行動制限により、在宅でできる仕事が多い職業でリモートワークが広く導入されたことが大きな要因となっている。
リモートワークの求人情報は、パンデミック以降、ほぼすべての職種で増加しているが、とくに知識集約型サービスでの増加幅が大きい。2019年と比べて増加幅が最も大きいのはソフトウェア開発で約11%ポイント増。後にマーケティング、メディア&コミュニケーション、情報デザイン&ドキュメンテーション、芸術&娯楽、医療情報、数学、ITオペレーション&ヘルプデスク、人事、保険と続く。一方、看護、食品調理&サービス、運転、製薬、清掃、製造などでは1%ポイント未満増と増加幅が小さい。
また、リモートワークの求人が占める割合は、日本やニュージーランドといった政府による行動制限が比較的緩い国ではほとんど増加は見られないが、アイルランド、イタリア、スペイン、英国など厳格な行動制限を行う国では7%ポイント増加している。(12月16日 Indeed Hiring Lab)
https://www.hiringlab.org/2021/12/16/will-remote-work-persist-after-the-pandemic/
【資金調達】
Turingが、StepStone Group、HR Tech Investments(Indeedの関連会社)などから8700万ドルを資金調達。企業評価額は11億ドルとなった。世界140カ国からリモートで働くソフトウェア開発者の採用プラットフォームのTuringは、AIを使ったエンジニアの発掘、評価、入社手続きといった人事管理機能を備える。世界各国のエンジニアからの需要が急増しており、登録者数は直近1年間で9倍に増えた。エンジニアや開発者約100万人が、プロジェクトを検索、または既にプロジェクトに携わっている。Turingは現在、約100のテクノロジーと15の職種を対象とする。顧客企業は、Johnson & Johnson、Coinbase、Rivian、Dell、Disney、Plume、VillageMDなどである。
Paradoxが、StripesやWorkday Venturesなどから2億ドルを資金調達。企業評価額は15億ドルとなった。資金は人員の増強に充てる。採用に特化したチャットボット「Olivia」を開発するParadoxは、候補者のスクリーニング、面接の日時調整、オンボーディングといったタスクを自動化する。過去5年間に、Unilever、Nestle、McDonald's、CVS Health、General Motors など500社超のグローバル企業の採用を支援している。
SeekOutが、Tiger Global Managementなどから1億1500万ドルを資金調達。企業評価額は12億ドルを超えた。AIでネット上の人材データを収集するタレント検索エンジンのSeekOutの顧客企業数は、過去1年間で1000社超に倍増した。SeekOutは2021年3月にも6500万ドルを資金調達している。
WorkStepが、NewRoad Capital Partnersなどから2500万ドルを資金調達。製造、小売、物流などサプライチェーンに関わるフロントラインワーカーの採用プラットフォームのWorkStepは、ソフトウェアで人材と求人をマッチングする。100万人以上のフロントラインワーカーが登録している。WorkStepは、企業が従業員の満足度を測定し、退職や定着の理由を把握するRETAINアプリケーションを提供する。退職者が増える入社7日目、15日目、30日目、90日目に従業員のアンケート調査を自動で行い、社内のリーダーが現場の従業員の満足度や成果の向上に活用できる退職に関するデータを収集する。顧客企業は、NFI、Westrock、Krogerなどである。
Handshakeが、Coatue Managementなどから2億ドルを資金調達。企業評価額は35億ドルとなった。資金は、需要の高い職業に必要な資格やスキルの獲得を支援する新規事業の開発や、国内外での拠点の拡大に充てる。新卒者向けコミュニティサイトのHandshakeは、バーチャルキャリアフェア、1対1のビデオチャット、採用担当者とのダイレクトメッセージなどの機能を備える。4年制大学、コミュニティカレッジ、ブートキャンプ、マイノリティ支援機関など1400の教育機関に通う世界中の学生や新卒者約2000万人が登録する。Google、Nike、GE、Bank of America、Targetなどの大手企業や、非営利団体、LA Dodgersといったプロスポーツチームなど65万以上の企業や機関と人材をつなぐ。
TEXT=杉田真樹