分析1 キャリア曲線を5つに分類してみた(6)

2019年05月15日

分析①-6

タイプⅤは「深めるからスタート」。
次世代型の可能性を秘めた4.5%の超少数派。

タイプⅤは「深めるからスタート」。今回集まったワークシートの大半は、キャリアスタート時には「広げるゾーン」へと入るキャリア曲線を描いています。しかし、このタイプの人たちは、最初から「深めるゾーン」に入るのです。いきなり「深める」からスタートしているのです。4.5%と超少数派ですが、気になるタイプです。

男性比率がかなり高く、30~40代が多くなっています。正社員比率がとても高く、平均年収もこの5タイプの中ではかなり高めです。職種を見ると専門職・技術職が過半数を占めています。学んできた内容、専攻を活かすなどして、初期から自分の専門領域を定めてスタートを切っているものとみられます。
しかし、このタイプは、ずっと深めっぱなしというわけではありません。「広げる変曲点」の平均値は1.9、「深める変曲点」の平均値は1.8ですから、初期に深めていても、その後「広げるゾーン」へと移行するのが基本形。そのような変化を表すように、ステージ数もやや多めですし、転機の頻度もタイプⅢ・Ⅳに次ぐものとなっています。

レーダーチャートは極めて特徴的。ひとことでいえば、すべて高い。「キャリア展望」スコアは、他のタイプのスコアを大きく凌駕していますし、「キャリア満足」も極めて高い。「学びスタイル」も「しなやかマインドセット」も高いレベルで確立されています。マルチサイクル・デザインの一つのモデルともいえそうです。ただし一つ気になる傾向が。このタイプの人たちには、ワーカホリックな傾向が見て取れます。仕事以外のアクティビティがあまり高くないのです。もっと視野を広げることができると、さらに素敵な次世代型になれるのかもしれません。

text:豊田義博
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF