分析1 キャリア曲線を5つに分類してみた(4)
分析①-4
タイプⅢは「広げて深めて広げる」。
これまでの経験とは異なる領域に転じた11.7%。
タイプⅢは「広げて深めて広げる」。キャリア初期は「広げるゾーン」に、そこから転じて「深めるゾーン」へと移行し、後期に再び「広げるゾーン」に転じているタイプです。「広げる変曲点」の平均値は3.1と多め。キャリア初期に「揺らぎ」があるパターンが多い点は、タイプⅡと相通ずるものがあります。「深める変曲点」の平均値は1.1。キャリア中期に何か一つを深めています。比率は11.7%と少数派です。
ステージの数は平均的なものですが、転機の頻度は、この5タイプの中で最も高くなっています。そして、その転機は、キャリア後期の「広げるゾーン」への再度の転入と重なっている人が多い傾向があります。このタイプの年齢構成には大きな特徴があります。それは、60~64歳の比率が高いこと。定年後に、それまでの仕事経験とは全く異なる分野の仕事に転じていく人はたくさんいますが、その人たちの多くがこのタイプに含まれていると考えられます。しかし、30代、40代の人たちもたくさん含まれていますので、シニアのモデルというわけではありません。これまでの経験とは全く異なる領域に転じていったタイプと考えてよさそうです。
レーダーチャートは、そうした状況をよく表した結果となっています。「キャリア満足」スコアはとても高いのに、「キャリア展望」は大きく平均を下回っています。キャリア中期までの経験から培われたであろう「キャリア満足」が、「キャリア展望」の支えとなっていません。その原因は、「学びスタイル」スコアの低さにありそうです。変化への対応には学びは不可欠。そのスタイルが確立されていないことが、キャリア展望を曇らせているのでしょう。「しなやかマインドセット」の低さも気になります。これからどうやっても、自分は変わることなどできない、という意識は、マルチサイクル時代に生きる上では大きな障害となるのです。