分析1 キャリア曲線を5つに分類してみた(3)
分析①-3
タイプⅡは「広げて深める」。
36.3%を占めるシンプルなワンサイクル・キャリア。
タイプⅡは「広げて深める」。キャリアをスタートしてしばらくは「広げるゾーン」に滞在していますが、ある時期を境に、「深めるゾーン」に移行していくタイプです。私たちが昭和モデルと仮説立てしたワンサイクル・キャリアは、平成の時代にも数多く存在しました。比率も36.3%と多数派です。
実際のキャリア曲線を見ても、見本に示したようなきれいなカーブを描く人がたくさんいましたが、キャリアの前半に「揺らぎ」がある人も少なくありません。「広げる変曲点」の平均値は1.9ですので、広げるゾーンにいるキャリア前半においても、「広げる」を2回繰り返している人が標準的です。ですが、「深める変曲点」の平均は1.1。広げるから深めるに転じて、今、深めている最中だったり、深めて安定している人が大半です。ステージ数は、タイプⅠと同様に少なめ、転機数も同じように少なくなっています。このタイプのもうひとつの特徴は、転職経験者の少なさです。ひとつの会社で、これまでのキャリアを作り上げている人の比率が、5つのタイプの中で最も高くなっています。やはり「昭和モデル」といえるのかもしれません。
レーダーチャートに注目すると、「キャリア展望」「キャリア満足」のスコアがそろって高めになっています。順調にキャリアを重ねてきた、これからも順調に行けるだろう、という意識が表れています。しかし、キャリア・オーナーシップのベースとなる4つの「学びスタイル」のスコアは、ほとんど平均的なもの。取り立てての強みはありません。このタイプの人たちが、マルチサイクルに対応できるかどうかには、疑問が残ります。ちなみに、このタイプには50~60代ももちろん含まれていますが、35~44歳の比率がやや高めであることも特徴のひとつ。この人たちのキャリア曲線が、今後どのように進化していくのか、注目したいところです。