【製品解説】選考・アセスメント領域

2020年01月08日

本コラムで取り上げたHRテクノロジー製品の中から、ここでは採用ステージ4段階のうち、【3】選考・アセスメント領域で利用されている21の製品について解説する。

<アルファベット順>
AllyO ・CodeVue ・Codility ・DDI ・HackerEarth ・HackerRank ・HireVue ・Hogan ・Koru ・MindX ・Montage ・OutMatch ・Paradox ・PeopleAnswers ・Pymetrics  ・SHL ・Talent Plus ・Talkpush ・Vervoe ・Virtual Job Tryout ・Wonderlic

AllyO

自然言語処理と機械学習の技術でリクルーターの煩雑な業務を自動化するチャットボット。AIリクルーター「Ally」が、応募者からの質問にチャットで回答。また「引越しは可能か?」などと質問し、応募条件を満たすかを確認する。面接日時の調整(Google Calendar、Exchange、Outlook経由)、面接日前日のリマインダーの送信、面接後のフィードバックの回収やオファーの提示、オリエンテーションの日時調整、内定後の定期的フォローといった機能も備える。SAP SuccessFactorsやTaleoなどの主要HCM(人材管理)システムおよびATSと連携することができる。

CodeVue

プログラミングテストでエンジニアのコーディングスキルを測るHireVueの有料オプション機能。ライブまたは録画面接の中でテストをリモートで実施する。13種類のプログラミング言語に対応。自動採点機能や、プログラミングの知識を持たないリクルーターでもテストの不正を特定できる機能などを備える。

Codility

コーディングスキルをオンラインテストで測るプログラマーの採用プラットフォーム。タスクのテンプレートをもとにテック面接を行う「CodeLive」サービスもある。プログラマー向けに、テスト本番などで実力を発揮できるよう練習用のコーディング課題を無料で提供。2009年開設。楽天、Amazon、Microsoft、SurveyMonkey、PayPal、Nissan、BMW、Volvo、Intelなどが利用している。

DDI

正式な社名は「Development Dimensions International, Inc」。行動科学をベースとしたリーダーのアセスメントや、体系的な能力開発を専門とするコンサルティング会社。短時間の適性検査、会計、金融、フードサービス、法律、小売、ソフトウェア、および医療業界の具体的なスキルテストなどを提供。アセスメントを民間企業のマネジャー選抜の手法として初めて整備し、システム化したことで知られている。1970年設立。現地事務所や提携先を通じ、93カ国でサービスを提供する。20カ国語以上に対応する。

HackerEarth

オンラインテストやハッカソンでプログラマーのスキルを測る採用プラットフォーム。35種類以上のプログラミング言語に対応。 ビデオ面接機能「FaceCode」で面接中にリアルタイムにプログラミングスキルを測ることも可能。面接官は一度に複数参加し、面接後にフィードバックや評価を共有できる。60カ国以上のプログラマーに利用されている。ハッカソンを開催し、集団ナレッジを製品やソリューション開発に生かすハッカソン管理サービスも提供する。2012年にインドで設立。顧客はAmazon、McAfee、Target、Symantec、Flipkartなど。

HackerRank

次世代のインテリジェントアセスメント技術を活用したエンジニアやソフトウェア関連人材の採用プラットフォーム。35種類以上のプログラミング言語に対応したコーディングによるアセスメントテストのテンプレートまたはカスタム制作したものを候補者に送り、スキルを客観的に測る。HackerRankがテスト結果を自動評価し、スコア化。候補者をランク付けする。企業はコーディング作業をリアルタイムにチェックし、同時にブラウザ上で動画やチャットで候補者と交流することも可能。求職者は、掲載されている多数の無料のプログラミング問題を解くことでランキング化される。その成績によって企業からオファーが来る場合もある。分からない問題について他のユーザーに質問するスペースがある。候補者が二人一組でライブ形式のプログラミングセッションに参加し、音声、ビデオ、チャットでコラボレート。企業がプログラミングやコミュニケーションスキルをリアルタイムに測ることができる「CodePair」サービスもある。登録者数は約500万人。顧客はBooking.com、LinkedIn、Goldman Sachs、VMWareなど。

HireVue

ビデオ面接、アセスメント、面接のスケジューリング機能を1つにまとめたクラウド型のデジタル面接プラットフォーム。ビデオ面接では、求職者はPCやスマホのアプリで企業があらかじめ設定した質問に対する回答を録画し、提出する。ライブ形式の面接も可能で、映像は最大8時間まで録画される。アセスメントは、ビデオ、ゲーム、コーディングの3種類。ビデオアセスメントでは、求職者が30分間で約5問の質問に答えると、AIと神経科学の技術で求職者の表情、言葉づかい、ボディランゲージ、イントネーションなど最高5万のデータポイントを収集。言葉・音声・ビデオの情報と、過去の応募者のビデオ面接結果データや入社後のパフォーマンス実績データを照合し、候補者の傾向や入社後の活躍度合い等の予測を自動計算する。ゲームによるアセスメントは、2018年に買収した英国のMindX社の製品技術をもとに、脳トレアプリのようなユーザーインターフェースを通じて、作業記憶力や空間把握力などの認知能力を10分前後の短時間で測定する。コーディングによるアセスメントではプログラミング能力を測る。IKEA、Intel、Delta Airlines、Hilton、Unilever、Oracle、Under Armour、Boston Red Soxなど700社以上の企業が利用。英語や中国語など32カ国語に対応している。

Hogan

正式社名は「Hogan Assessments」。通常の状態での行動スタイルを測るブライトサイド、ストレス状況下での行動傾向を測るダークサイド(疑い深い、興奮しやすいなど)、意思決定スタイル、論理的思考力、動機付け要因や価値観、興味関心を診断するさまざまなアセスメントサービスを提供。ジョブパフォーマンスを予測する。 56カ国、47カ国語で製品・サービスを提供している。1987年設立。Cisco、Dell、Microsoft、GM、Citibank、HSBC、IBM、Intel、Johnson & Johnson、McDonald's、Merckなどが利用している。

Koru

現代のイノベーション・エコノミーで高いパフォーマンスを発揮するために最も重要とされる7種類のソフトスキル「Koru7 Impact Skills」(やり抜く力、綿密さ、影響力、チームワーク、好奇心、オーナーシップ、洗練性)を測定し、入社後に高いパフォーマンスを発揮する可能性を予測する。機械学習の技術や社内で推進力となっている社員の性格特性などに関するデータをもとに企業にとって理想的な候補者のプロフィールを作成し、それに合う候補者を特定する。出身大学、職歴、GPA(大学の成績)といった従来の指標では、入社後のパフォーマンスを予測することはできないとしている。2019年に英国のタレントアセスメントサービスCapp & Co. Limitedに買収された。

MindX

脳トレアプリのようなユーザーインターフェースを通じて、PCやスマートフォンを使って認知能力を10分前後で測定する英国のアセスメントサービス会社。サイコメトリクス(心理統計学)、ビッグデータ、機械学習を取り入れたミニゲームで、問題解決力、学習力、創造力、メンタルの柔軟性、定量分析力、集中力といった認知能力や特性を測り、スコア化する。入社後のパフォーマンスを予測する。2019年にビデオ面接プラットフォームのHireVueに買収された。

Montage

録画およびライブ形式の面接プラットフォーム。求職者はビデオ、SMS、音声で事前に設定された質問に回答する。AIのスケジューリングアシスタントが、自然言語処理技術を活用し、候補者、マネジャー、リクルーターとメールやSMSで面接日時を自動調整するスケジューリング機能も備える。対面面接をサポートする機能もあり、候補者への面接招待メールに企業別に制作したランディングページのリンクを送信。会社の紹介ビデオ、オフィスへの行き方、当日の内容などを伝え、面接前から候補者体験を高める。面接中は事前に決めた質問リストを含む面接ガイドを利用できる。面接の感想やフィードバックを面接中にメモし、採用チームと共有する機能もある。200カ国以上でソリューションを提供し、20カ国語に対応。年間で400万件の面接をサポートしている。2019年5月にアセスメントサービスShaker Internationalと合併した。

OutMatch

採用候補者や従業員向けオンラインアセスメント、ビデオ面接、自動身元照会、カルチャーアナリティクスの機能を統合したタレントアナリティクスプラットフォーム。アセスメントでは、論理的および数字的推論力、読解力などを測り、ジョブフィットをスコア化する。

Paradox

採用チャットボットのプロバイダー。AIアシスタント「Olivia」が、求職者からの様々な問い合わせに自動応答し、経験年数や希望の職種や資格の有無などを質問して、スクリーニングする。主要な条件を満たす候補者を、面接など次のステップへと自動的に誘導する。Google Calendar、Outlook、Office365などに入力されている面接担当者の予定表をもとに空き時間を把握し、候補者と自動チャットで面接日時を調整することも可能。HireVueやMontageといったビデオ面接システムにも対応。60カ国でDelta Airlines、CVS Health、Thomson Reutersといった企業約150社に利用されている。

PeopleAnswers

製品名は「Infor Talent Science」。クラウドベースの予測型人材分析ソリューション。2014年にクラウドERP(統合基幹業務システム)プロバイダーのInforに買収された。企業は優秀な既存の社員にアセスメントテストを受けさせ、自社の「Performance Profiles(理想的な社員)」を明らかにする。次に、テストで39の行動、認知能力、文化的特徴(細部への配慮、大望、自制心、柔軟性、共感力など)を示す候補者の「Behavioral DNA」を測定し、比較照合する。AIが候補者分析モデルに基づいて、新規採用者の長所や可能性、最初の90日間に行うべき効果的指導、信頼関係の構築、信頼度強化に向けた課題にフォーカスした能力開発計画などを提案する。応募者の資質、応募者数、候補者の選考など、採用プロセスに関する重要な情報を管理画面で確認できる。25カ国以上で利用されており、15カ国語に対応する。

Pymetrics

AIや脳神経科学を活用した12種類のオンラインゲーム(クリックして風船を膨らませるなど)をもとに、AIが候補者の能力やリスクに関する意識、強みや弱みなどを瞬時に特定し、社内のトップパフォーマーのプロフィールと比較する。思考回路を読み解き、例えば自分の利益より他者を優先する人物かどうかや、集中を乱される状況下で対応するスピードなど、認識・感情・社会性に関する90以上の特質を測定できる。大勢の候補者を同時にスクリーニングできる。

SHL

1977年設立のアセスメントサービス会社。40年以上も蓄積されてきた人材に関する専門知識や最先端のアセスメント科学をもとに、実際の仕事の場面を模した状況判断シミュレーションといった行動アセスメント、意欲やリーダーシップスタイルや仕事上の価値観などを測る性格適性テスト、弱みや強みや就職の準備度を把握する認知能力テスト(言語力、計算力、推論能力、読解力など)を提供。業界および職種別にパッケージ化されたアセスメントソリューションも提供。業種では金融、保険、ホスピタリティ、小売、医療、テクノロジー、製造、通信、運輸に対応。職種では、営業、カスタマーセンター、IT、クレーム対応、事務、リーダー職が対象。2018年に英国のプライベートエクイティExponent Private Equityに買収された。顧客は、Microsoft、Heineken、Bombardier、The Adecco Group、Bristol-Myers Squibbなど。150カ国以上で利用されている。

Talent Plus

オンラインアセスメントテストのプロバイダー。医療、サービス、小売、金融、自動車など20種類以上の業種、そして事務や接客スタッフ、デザイナー、税務専門職などさまざまな職種に対応している。20カ国で400社以上の企業に利用されている。30カ国語で面接を実施できる。

Talkpush

AIボットを使った採用自動化プラットフォーム。チャットボット「Stanley」が、求職者からの応募に関する質問に対応し、事前設定した条件をもとに自動スクリーニングする。面接日時も調整する。人気のメッセンジャーアプリ「Facebook Messenger」と「WhatsApp」にも対応。応募者は同アプリを使ってビデオ面接を受け、音声、動画、またはテキスト形式で質問に答えることができる。音声は音声認識AIと自然言語処理技術によって自動テキスト化される。写真やPDFといった文書ファイルの送受信も可能。月額利用料は、199ドルから。

Vervoe

オーストラリア発の採用プラットフォーム。独自開発した「人材トライアル」アセスメントテストを通して隠れた人材を探し出す。現実のシナリオの中で候補者がどう行動するかを、機械学習の技術で自動的にランク付けする。採用の専門家やTeslaなどの大手企業からの情報に基づく豊富なテスト・ライブラリーを提供。質問事項やOJTシミュレーションなどのスキルテストは、採用担当者自身がライブラリーの中から選ぶが、必要に応じて自作することも可能。月額利用料は99ドルから。

Virtual Job Tryout

実際の仕事で直面するような問題を解決し、実際の仕事内容と類似したタスクを求職者に体験させ、機械学習技術で即戦力となるスキルや知識があるかどうかを業務シミュレーションを用いたゲームで見極めるアセスメントサービス。コールセンターやレジ、メカニックなど40種類以上の職種別テスト以外に、カスタマイズも可能。 候補者は自動的にフィットが高い順で順位づけされる。アセスメントの結果はレポートにまとめられ、採用や昇進、異動の判断に役立つ。銀行、営業、コールセンター、医療、小売、保険、製造といった職種に対応。68カ国で利用され、13カ国語に対応している。人事にとっては、仕事内容についてのネガティブな情報も含めたリアルな情報を積極的に開示する「リアリスティックジョブプレビュー」(RJP)によって採用のミスマッチを防ぐことができる。

Wonderlic

SaaS型の採用前オンラインアセスメントテストを提供する老舗アセスメント会社。1937年設立。適応力や理解力などを測る認知能力テスト、興味関心や仕事に対するやる気を分析するモチベーションテスト、5因子モデルに基づく性格特性テストの3種類をもとに、ジョブパフォーマンスを予測し、仕事の適性度「WonScore」を算出する。候補者をスコアの高い順に表示。上位者のテスト結果を並列表示し、簡単に比較評価できる。さまざまな規模や業種の企業、政府機関、教育機関を顧客に持つ。NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)も、ドラフト候補生たちの身体能力や精神面をテストする年間イベント「スカウティングコンバイン」に同社のIQテストを導入している。

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