【製品解説】エンゲージメント・人材供給パイプラインマジメント領域

2019年12月25日

本コラムで取り上げたHRテクノロジー製品の中から、ここでは採用ステージ4段階のうち、【2】 エンゲージメント・人材供給パイプラインマネジメント領域で利用されている20の製品について解説する。

<アルファベット順>
AllyO ・Avature ・Brazen ・Comparably ・ENGAGE Talent ・GR8 People ・HireVue ・Kenexa BrassRing ・LinkedIn ・Paradox ・Phenom People ・RolePoint ・SkyRecruit ・SmashFly ・Springboard ・Survale ・SwoopTalent ・Talemetry ・Talentegy ・Yello

AllyO

自然言語処理と機械学習の技術でリクルーターの煩雑な業務を自動化するチャットボット。AIリクルーター「Ally」が、応募者からの質問にチャットで回答。また「引越しは可能か?」などと質問し、応募条件を満たすかを確認する。面接日時の調整(Google Calendar、Exchange、Outlook経由)、面接日前日のリマインダーの送信、面接後のアンケートの回収、オファーの提示、オリエンテーションの日時調整、内定後の定期的フォローといった機能も備える。SAP SuccessFactorsやTaleoなどの主要HCM(人材管理)システムおよびATSと連携することができる。

Avature

グローバル人材の獲得および管理のためのSaaSプラットフォーム。地域や部門など企業のニーズに合わせて柔軟に仕様を変更できる「Avature CRM」が代表的な製品。インターンやエグゼクティブなど対象者別のランディングページやマイクロサイトを簡単に制作できるCMSや、そのリンクを採用情報とともにSNSに投稿する機能を備える。アナリティクス機能で訪問者数や登録者数などの効果も測定できる。その他、ATSや、新卒採用、採用イベント、従業員によるリファラル、オンボーディングなどを最適化するための製品がある。顧客はAccenture、KPMG、IBM、Novartis、L'Oreal、Philips、Siemens、Walmartなど650社以上。164カ国で利用されている。

Brazen

企業や大学向けチャットソフトウェアを提供。「Recruiting Chatbot」では、キャリアサイトや求人広告内に自動チャット機能を設置し、ランディングページと登録フォーム入力ページに優秀な人材を誘導。そして、チャットボットが自然言語処理の技術で候補者と自動で会話し、候補者のメールアドレスや電話番号といった情報を収集。引っ越しが可能かどうかや、経験年数などを質問し、候補者のふるい分けを行う。「QuickChat」機能では、リクルーターがランディングページ上で求職者とチャットする。「Scheduled Chat」機能では、求職者が決められた複数の日程の中から都合のよい日時を選び、リクルーターとチャットする。候補者がリクルーター、従業員アンバサダー、採用部署のマネジャーと事前に決められた日時にグループチャットで交流する「Virtual Career Fairs」機能もある。参加申し込みページにコーポレートビデオや求人広告などを組み込むことも可能。顧客はStarbucks、UPS、KPMG、CVS Health、Northrop Grumman、Raytheon、Cleveland Clinicなど。

Comparably

社風、給与、経営幹部、面接などについて従業員がリアルな感想や情報を投稿する企業レビューサイト。求職者は特定の企業の社風やダイバーシティの取り組みやCEOに関する評価スコア、そして従業員の幸福度やクオリティオブライフを部署別に調べ、求人情報を職種、部署、都市別に検索できる。匿名で職場環境やワークライフバランスや福利厚生などについて質問を投稿したり、給与相場を都市、職種、業界で検索したりもできる。

ENGAGE Talent

AIで3万以上のウェブサイトをモニタリング&データを収集し、人材の流動を予測する「Total Talent Intelligence」プラットフォーム。候補者やその就業先の動向を継続的にモニタリングし、候補者が転職しそうな予兆を察し、アラートを通知する機能を備える。その他、タレントマッピング、競合インテリジェンス、潜在層とのエンゲージメント、アウトバウンドリクルーティングなどの機能を1つに統合。企業の候補者発掘やエンゲージメントをサポートする。「Talent Market Intelligence」では、最も人材需要が高いマーケットについてのアナリティクスや予測トレンド、競合インテリジェンスを提供する。新たな顕在層プールを開拓し、どこよりも早く人材とエンゲージし、適したメッセージを届ける機能もある。さらに、部署、職種、地域別に社員のリテンションリスクを予測分析し、競合と比較する機能もある。2019年11月にMSP(マネージドサービスプロバイダー)のWorkforce Logiqに買収された。

GR8 People

CRM、ATS、採用マーケティングやオンボーディングをサポートする製品を提供する。「GR8 CRM」は、AIによる求人レコメンデーションを備えたキャリアサイトの制作、採用マーケティングを目的としたメール配信の自動化、プログラマティック求人広告の配信、面接の自動スケジューリング、候補者と求人情報の適合度を表すスコアの自動算出、採用イベントや従業員によるリファラルの管理といった機能を備える。世界45カ国でInformatica、Teradata、Burton、Randstadといった企業約150社に利用されている。

HireVue

ビデオ面接、アセスメント、面接のスケジューリング機能を1つにまとめたクラウド型のデジタル面接プラットフォーム。ビデオ面接では、求職者はPCやスマホのアプリで企業があらかじめ設定した質問に対する回答を録画し、提出する。ライブ形式の面接も可能で、映像は最大8時間まで録画される。アセスメントは、ビデオ、ゲーム、コーディングの3種類あり、ビデオアセスメントでは、求職者が30分間で約5問の質問に答えると、AIと神経科学の技術で求職者の表情、言葉づかい、ボディランゲージ、イントネーションなど最高5万のデータポイントを収集。言葉・音声・ビデオの情報と、過去の応募者のビデオ面接結果データや入社後のパフォーマンス実績データを照合し、候補者の傾向や入社後の活躍度合い等の予測を自動計算する。ゲームによるアセスメントでは、2018年に買収した英国のMindX社の製品技術をもとに、脳トレアプリのようなユーザーインターフェースを通じて、PCやスマートフォンを使って作業記憶力や空間把握力などの認知能力を10分前後の短時間で測定する。コーディングによるアセスメントではプログラミング能力を測る。IKEA、Intel、Delta Airlines、Hilton、Unilever、Oracle、Under Armour、Boston Red Soxなど700社以上の企業が利用。英語や中国語など32カ国語に対応している。

Kenexa BrassRing

正式な製品名は「IBM Kenexa BrassRing on Cloud」。興味喚起から選考、採用、定着までを網羅した総合採用管理システム「IBM Kenexa Talent Acqusition Suite」に含まれるSaaS型のATS。複雑な組織のニーズに応じて、キャリアサイトや部署別の人材募集ページを簡単に制作できる。募集人員や応募状況、社内公募についての問い合わせなどが一目で分かる。行動心理学者が作成した適合性を測るテストのURLを応募者にメール送信し、自動で採点するアセスメント機能がある。その他、モバイル応募、SMSによるメッセージ送信などの機能も備える。

LinkedIn

ビジネスに特化した大手SNS。世界の登録者 6億人超の履歴書が登録されている。求人・求職サイトとしても利用されており、求人情報の掲載件数は2019年5月時点で2,000万件を突破した。

Paradox

採用チャットボットのプロバイダー。AIアシスタント「Olivia」が、求職者からの様々な問い合わせに自動応答し、経験年数や希望の職種や資格の有無などを質問して、スクリーニングする。主要な条件を満たす候補者を、面接など次のステップへと自動的に誘導する。Google Calendar、Outlook、Office365などに入力されている面接担当者の予定表をもとに空き時間を把握し、候補者と自動チャットで面接日時を調整することも可能。HireVueやMontageといったビデオ面接システムにも対応。60カ国でDelta Airlines、CVS Health、Thomson Reutersといった企業約150社に利用されている。

Phenom People

SaaS型のTalent Experience マネジメントプラットフォーム。候補者、従業員、リクルーター、マネジャーの体験向上を促進する製品を4種類提供する。候補者体験の向上を目的とした「Candidate Experience: CX」では、マネジメント経験の有無や経験年数などをもとにスクリーニングしたり、電話による1次面接の日時調整などを行うチャットボット機能に加えて、セマンティック検索技術を用いたスマート検索などの機能も備えたキャリアサイトを制作できる。求人ページを閲覧した求職者の情報を記録し、求職者に合わせたコンテンツや求人情報を表示する。応募者は、各自専用のポータルから審査状況を確認したり、アラートの設定を変更したり、リクルーターに直接連絡できる。CRMの「Recruiter Exeperince:RX」では、キャリアサイトなどを経由して収集した候補者と応募者の情報を一括管理できる。特定の条件を満たす人材を地域やスキルなどをもとに検索し、求人や採用イベントの情報を自動配信する機能などを備える。顧客は、Microsoft、General Motors、Ford Motor Company、GE Appliances、Southwest Airlines、Whole Foodsなど。

RolePoint

リファラル管理プラットフォーム。Google の機械学習機能「Google Cloud Job Discovery」を導入したリファラル専用ポータルで、従業員は自社の採用情報を検索し、自身のSNSアカウント経由で簡単に知人と共有できる。知人を紹介した従業員には、選考の進捗状況が定期的に通知される。紹介者に支給するボーナスや景品などのインセンティブを管理する機能も備え、金額や支給するタイミング、支給状況を確認できる。知人を紹介するごとにポイントを付与し、従業員の参加を促進するゲーミフィケーションの要素もある。顧客はLenovo、PayPal、Walmart、Whirlpool、Intuit、CapitalOneなど。年間の利用料金はサブスクリプション型(会社規模によって異なる)。2019年にJobviteに買収された。

SkyRecruit

応募者のアセスメント、面接日時の調整といった工程を自動化するCRM。自動ソーシング、セグメント別の採用マーケティングおよび候補者ナーチャリング、面接日時のセルフスケジューリング、ビデオ面接、従業員によるリファラル採用、採用イベントの管理といった機能を備える。RPO会社のCieloが提供する。

SmashFly

CRM、キャリアサイトの制作、チャットボット、採用イベントの管理、アナリティクスといった機能を1つにまとめた総合採用マーケティングプラットフォーム。「SmashFly CRM」は、特定の職種に求められるスキルや資格、学歴、ジョブデスクリプションを設定すると、自社のキャリアサイトやSNSなどあらゆるソース経由で収集した大量の人材情報の中から、AIがスキルや会社への興味の高さをもとにおすすめの候補者をスコアの高い順に表示する「Pipeline Intelligence」機能を備える。その他、文章や画像、動画など、メールに追加したい素材をドラッグ&ドロップするだけで、メールメッセージのテンプレートを簡単に制作できるメール編集機能などもある。2019年11月に採用ブランディングやタレントマーケティング技術を提供するSymphony Talentに買収された。

Springboard

RPOサービスPeopleScoutのSaaSベースの総合的な採用&人的資産管理ソリューション。ソーシング、SNSとの統合、人材供給パイプライン管理、オンボーディング、ビジネス情報および分析、スクリーニングやコミュニケーションの自動化、候補者エンゲージメントなど、ATSとCRMの両方の機能を持つ。

Survale

キャリアサイト、応募プロセス、面接などに関する求職者のフィードバックを瞬時に集め、分析する自動労働力サーベイプラットフォーム。企業がアンケートを自ら作成し、回答を収集すると、結果をまとめたレポートが自動作成される。アンケートはショートメッセージ、メール、Slackに対応。キャリアサイト内に候補者向けのアンケート回答ボタンを設置し、応募プロセスやサイトの使いやすさなどに関するフィードバックをリアルタイムに収集できる。応募率のアップや内定辞退の防止をに役立つ。

SwoopTalent

さまざまな分野の1億6,000万人以上のデータをプライベートなクラウド上に保有するデータ管理ソリューション。その中から求人にマッチする消極的候補者を特定、ランク付けする。紙の履歴書を瞬時にデータ化し、候補者のSNSアカウントにリンクする。企業は自社のATS、候補者マーケティングシステム、スプレッドシート、インターネット上のデータなどを1つに統合し一括検索できる。人材を探すだけでなく、SwoopTalentの「Facebook Job Board App」を通して自社のFacebookページに求人を掲載できる。すべての統合とデータ移植はプラグ&プレイ・プラットフォームで簡素化されている。

Talemetry

カナダの採用マーケティングプラットフォーム。企業内のATSとシームレスに接続し、1つのインターフェースで簡単に候補者をソーシングし、アウトバウンドマーケティング活動で候補者とエンゲージできるCRMを提供する。また、携帯端末に対応し、SEO対策を施したキャリアサイトを作成できる「Talemetry Career Sites」や、採用情報やソーシャルリクルーティング用のコンテンツをAppcast、Glassdoor、Indeed、LinkedIn、Recruitics、USAJobs、Monster、ZipRecruiter、CareerBuilder、DiceといったジョブボードやSNSに自動配信する「Talemetry Job Broadcast」といった商品もある。2019年にJobviteに買収された。

Talentegy

AIを活用したタレントアナリティクスプラットフォーム。候補者体験や従業員のエンゲージメントをリアルタイムで測定し、アンケートやチャットボットでフィードバックを収集する。採用情報サイト上でユーザーがどの情報を検索したり、閲覧したりしているのか、サイト内行動を自動録画する機能があり、録画を再生することで問題がある箇所を特定できる。GlassdoorやIndeedなどに投稿された口コミ情報をモニタリングし、競合他社と比較する機能もある。料金は月額制(499ドルから)で、プランは3種類ある。

Yello

人材の発掘や面接日時のスケジューリング、選考を自動化する採用プラットフォーム。AI搭載の日程管理ソフトウェア「Advance」は、候補者が都合のよい日時を選択するランディングページの制作、自動チャットによる候補者のスクリーニング、送信メッセージのテンプレートといった機能を備え、GmailやMicrosoft Outlookの予定表と同期。予定が近づくとリマインダーを自動送信する。Taleo、Workday、Kenexa BrassRingといった主要ATSともシステム連携可能。その他、CRM「Source」や採用イベント管理システム「Engage」も提供する。顧客企業はWalmart、Johnson & Johnson、Spotifyなど。世界70カ国、15カ国語で利用されており、Fortune 500企業のうちの約100社が使っている。

関連する記事