ATS1位はWorkday -HR Techランキング調査-

2020年01月29日

23社に聞くHRテクノロジー利用状況

欧米の人事責任者向けのコンファレンスには、ほぼ全てに、HRテクノロジーの各製品を紹介するブースが設けられ、人事責任者が次々に発表される新商品などの説明を積極的に聞く姿がある。
採用プロセスごとにどのような商品を利用することで、最適化がはかれるのか、また現在利用している商品との互換性はあるのか。何に投資すると自社の採用が劇的に変化するのか。近い将来、有望とされるテクノロジーはどのようなものか。さまざまな情報収集を行い、試行錯誤を続けている。
Tech Stackインタビューでは、10社のHRテクノロジーの利用状況を聞いたが、ここでは23人の人事プロフェッショナルに、HRテクノロジーの利用に関する調査を行った。最も効果的なアプリケーションは何か。その結果の一部を紹介する。

<調査概要>
目的:米国企業のHRテクノロジーの利用状況とその効果を明らかにする
調査対象:グローバル企業の採用責任者・アナリスト・コンサルタント 23人
調査期間:2019年2~3月
調査方法:インターネット上のアンケート調査サイト利用によるウェブ調査

最も利用されているATS(応募者追跡システム)は「Workday」

はじめに、採用プロセスの柱となるATSに利用している製品について聞いた。最も多いのが「Workday」で26.1%、次いで「Kenexa-IBM」が17.4%と続いた。質問の選択肢には大手ATSを設定したが、意外にも「その他」が21.7%であったため、その内容についても聞いたが、自社でオリジナルのシステムを内製化している企業もあった。また、現在利用していないが、これからWorkdayを導入する予定という企業もあった。Workdayは日本の企業も多く導入しているが、全体像の把握のしやすさや環境変化への適応、複数デバイスの利用など、使い勝手のよさが評価されているようである。

Q1 ATSはどの製品を利用していますか?2つ以上の場合はメインに利用している製品を教えてください。(有効回答数23)

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最も利用されているCRM(採用候補者管理システム)は「Avature」

CRMに利用している製品は「Avature」が27.3%と最も高かった。次いで「SmashFly」の9.1%であった。Avatureはシステムの接続や柔軟な操作性が評価されているようである。CRMの回答は「その他」が54.6%と過半数を占めたため、その内容について聞いたが、「今は利用していないが必要と思っている」「ATS製品をCRMの機能として利用している」「複数の製品を利用している」という内容であった。また、うち2人が「GR8 People」を利用していると回答した。CRMの特徴として、他の領域で利用している製品でも代替可能であるため、分散傾向にあるようである。

Q2 CRMはどの製品を利用していますか?2つ以上の場合はメインに利用している製品を教えてください。(有効回答数22)

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採用プロセスの中で、最もテクノロジーを活用している領域は「Analytics(アナリティクス)」

一連の採用プロセスの中で、どこにテクノロジーを利用すると効果的なのか、もちろん予算が豊富にあればすべてに活用する企業もあるだろう。また、テクノロジーではなく「人」が介在したほうが上手くいくプロセスもあるはずである。ここでは、採用プロセスを16分類して、どのプロセスにテクノロジーを置いているのかを聞いた。回答者が導入しているテクノロジーの製品数は10程度であるが、その中でも、最も活用しているのは「Analytics」の領域で、68.2%と3分の2以上が導入していた。半数を超えていたのは、「Job Marketing & Distribution(求人情報を複数サイトに一括掲載する)」の59.1%、「Social Network Applications(LinkedInなどのソーシャルネットワーク)」の54.6%、「Video Interviewing(ビデオ面接)」の54.6%、「Automation」の50.0%であった。一方、テクノロジーをほとんど利用していないのは、「Reference Applications(リファレンスチェック)」の4.6%であった。採用候補者の人物や前職での勤務状況の確認は、人事担当者や外部委託など人が行うことが多く、まだテクロノジーでは代替できない領域のようである。

また、この質問で選んだソリューションの中で、最も効果の大きいアプリケーションを聞いているが、エンゲージメント・人材供給パイプラインマネジメント領域ではLinkedInとAvatureが複数。選考・アセスメント領域では、HireVueという回答が多くあった。ソーシング領域では、LinkedInが最も多く、HiringSolvedも複数あった。オファーマネジメント・オンボーディング領域では、Workday、DocuSign、Kenexaという回答が複数あった。

Q3 次のHRテクノロジーやソリューションのうち、貴社が導入しているものは何ですか?あてはまるものをすべて選んでください(複数回答)。(有効回答数22)

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テクノロジー導入の効果は、採用にかかる時間の短縮

HRテクノロジーは何に効果的なのか。最も回答が多かったのは「採用にかかる時間の短縮」で56.5%と、半数以上がその効果を実感しているようである。次いで、「採用コストの削減」が34.8%、「採用の質の向上」が30.4%であった。自由記述を見ると、「現在、効果について測定中である」の他に、「リクルーターの生産性が向上した」「品質のスコアがアップした」「同じ採用予算で、候補者の母集団が拡大した」「候補者を引き付ける力が向上した」「候補者体験が向上した」という好意的な意見が多く挙がっていた。

Q4 HRテクノロジーがもたらした効果は何ですか?(複数回答)。(有効回答数23)

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人事がこれから期待する採用の自動化は、「面接」と「選考」

次々に新しい製品が生まれているが、採用の自動化はどこまで進んでいるのだろうか。「アセスメント」や「ATS」については、完全に自動化されているという意見がある。また、将来自動化してほしいものとして希望が多かったのは、「スケジューリング」「スクリーニング」で、回答の多くを占めた。また、少し先の未来に実現してほしいものは「面接」と「選考」であった。既存のテクノロジーにまだ改善の余地があるということだろう。5年後のテクノロジーはどうなっているのか、さらなる進化に期待したい。

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