ブランドクリエイション
キャリアサイトのUXや求人広告の改善で採用ブランドを形成
最新のHRテクノロジーマップでは、「ブランドクリエイション&マネジメント」を「ブランドクリエイション」と「ブランドマネジメント」に分割した。ブランドクリエイションは、テクノロジーを活用し、採用情報ページのユーザビリティやデザイン性を高め、仕事風景やオフィスの様子などを視覚的に伝えることで、求職者に良質な体験を提供し、採用ブランドを形成する。具体的には、下記のようなサービスがある。
- Facebookの企業ページ内に「キャリア」欄を設置したり、自社の採用情報ページに写真や動画を簡単に追加したり、企業のSNSアカウント経由でシェアしたりするシステム(Jobcast、HireRabbit、Ruutly、Sparc、VideoMyJob、VIZI)
- 社員のストーリー、写真、動画などを掲載した採用情報サイトを企業が自ら制作し、コンテンツを管理する採用マーケティングソフトウェア(Jibe、Ongig、SnapHop、Teamtailor、Talemetry、NextWave Hire)
- 求人広告や候補者へのスカウトメールの文章を自動添削およびリライト(Textio、Ongig)
- 企業の採用プロセスに関する求職者や採用部署のマネジャーの満足度をステップ毎にリアルタイムに測り、改善点を指摘するSaaS型システム(Mystery Applicant)
人事との関連性
ウェブの知識がない人事・採用担当者が、採用情報を載せたページを簡単に制作。写真や社風など求職者に伝えたい情報を定期的に更新し、採用ブランドを構築できる。ウェブ制作会社を通さずに済むため、導入・運用のコストを抑えられる。
サービス例
1.Jobcast:ソーシャルリクルーティングアプリ
カナダの会社。Facebookの企業ページ内に「キャリア」タブを設置し、求人情報を掲載するアプリを提供する。写真をドラッグ&ドロップで追加したり、YouTubeにアップロード済みの動画を掲載したり、メインビジュアルや色を変更するなど、簡単にカスタマイズできる。また、社内のATSとJobcastを連携させ、ATSに保存した求人情報を各SNSの企業アカウント経由で自動シェアし、ジョブボードを使っていない顕在層にリーチするオプションサービスもある。料金は月額制で、4種類の料金プランがある(月額39ドルから)。顧客はSamsung、Pizza Hut、Harley-Davidsonなど。
2.Ongig:コンテンツマネジメントシステム
写真、動画、チャット、パワーポイント資料、地図などの機能を備えたインタラクティブな採用情報ページを制作し、SNS経由で求人情報をシェアするSaaS型採用ブランディングシステム。仕事内容や働き方などに関する求職者からの質問やコメントにリクルーターが返信するチャット機能や、掲載する画像や動画を管理するコンテンツマネジメントのツールも備える。全ページのメインビジュアルやロゴ、色、フォントなどを企業が自ら編集できる。求人情報のページビュー、応募者数、シェア件数、コメント件数を媒体別に確認できるアナリティクス機能もある。プロのライターが採用情報の文章をより説得力の高いものにリライトしたり、ナレーションやテキスト、BGMを含めた動画制作を代行するオプションサービスもある。顧客はVerizon Digital Media Services、Yelp、Autodeskなど。
3.Textio:求人広告の文章を自動添削し、多様な人材の採用を促進
求人広告や候補者へのスカウトメールの文章をAI技術で一語一句添削し、応募率や返信率の低下につながりやすい表現を蛍光色でハイライト表示。より適切な単語を提案する拡張ライティングプラットフォーム。LinkedInのInMailやGoogleのGmailにも対応している。文章の良し悪しをスコアで表示する。文章を編集すると、リアルタイムでスコアが変わる。文章が長すぎる、あるいは短すぎるといった改善点を優先順位の高い順に指摘する。企業は、自社のスコアを競合他社と比較することも可能である。さらに、求人広告やスカウトメールの文章全体のトーンや文体が男性的か、女性的かが色で分かる「Gender Tone Meter」機能もある。IBM、Cisco、Johnson & Johnson、American Express、Credit Suisse、Vodafone、British Airwaysなど多くの大手企業が利用。女性の採用数が平均で23%アップしている。Textioは、米ビジネス誌『Fast Company』が選ぶ2018年版「世界の革新的な企業(The World's Most Innovative Companies)」のデータサイエンス部門で、イノベーション力が高い企業10社の1つに選ばれた。
ビジネスモデル(課金形態)
企業がサービス事業者にシステム利用料を支払う
企業がサービス事業者に、採用情報サイトに動画や画像をアップロードしたり、SNS経由で求人情報を拡散したり、求人広告の文章を自動添削するといったシステムの利用料を支払う。求人情報の掲載件数によって、月額料金が異なる料金プランを数種類提供しているサービス事業者が多い。
今後の展望
深刻な人材不足を背景とした売り手市場が続いている。人材獲得競争が過熱する中、欲しい人材を惹き付けるには、採用ブランド、つまり採用市場において他社と差別化し、自社が選ばれるためのイメージの確立が不可欠だ。自社の魅力や特徴を明確に、かつ簡単に求職者に伝えることができるブランドクリエイションサービスの需要は、今後も伸びるだろう。
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