ブランドクリエイション&マネジメント

企業の採用ブランド構築および運用サービス

2017年04月28日

Brand Creation and Management
代表的なサービス

優秀な人材を獲得するためには、企業の採用ブランド(例えば「採用の問い合わせに対する素早い回答」や「面接者によるわかりやすい説明」などといった良い印象)を確立し、企業からの効果的な情報発信を求職者に対して行うことが欠かせない。近年そのような企業の採用ブランド構築のためのサポートを外部に依頼する企業が増えてきている。それらの活動を合わせて「企業の採用ブランド構築および運用サービス」と呼ぶ。

具体的には、企業のPR動画や求人情報、採用に特化したウェブサイトの作成、ウェブ上での求職者の追跡、求職者データ収集および分析、情報内容や配信手段および配信対象の検討、ウェブ上でのチャットサービスなど企業と求職者をつなぐコミュニケーション・ツールの提供、およびその運営サポートなどが挙げられる。

人事との関連性

企業ウェブサイトからサービス事業者により抽出された求職者(潜在求職者を含む)データは、企業の人事部が管理する。このデータをもとに必要な時にその人材に迅速にコンタクトできるため、採用にかかる時間の短縮につながる。

企業が持つATSに統合可能な求職者データを提供するサービスを使うと企業内でATSを使ってまとめて管理できる。また求職者の情報を活用して企業の採用活動全般を見直すことで、採用活動をより効果的なものに改善でき、求職者をひきつけることができる。さらに求職者データを分析し、ターゲットを絞りメールやSNSといったアプローチ方法を変えて求人情報を発信している企業もある。この方法により、企業が欲しい人材に情報が届く可能性が高まり、採用効率を上げることができる。

サービス例

  1. PathMotion:企業のウェブサイト上で、企業と求職者をつなぐ機会の運営
    企業の従業員と、求職者がライブチャット、ライブの会社説明会や質疑応答セッションで直接話す機会を提供し、その結果を企業にフィードバックする。そのフィードバックは企業の採用ブランド構築に役立てられる。そのような直接の機会を通じ、個人レベルでの企業とのつながりを求職者に感じさせることで、求人への応募を促し、効果的な人材採用につなげている。
    またSNSなどの媒体を限定し、求職者のターゲットを絞り情報を発信する。それにより、企業の望む人材が求人情報を入手し、応募する可能性を高める。
  2. MysteryApplicant:企業の採用活動に対する求職者の声を抽出、分析
    企業との間での求職者の実体験に関するフィードバックをもとに、採用ブランドの構築または改善に向けたアドバイスを提供する。候補者と効果的なコミュニケーションをサポートし、企業の採用を成功に導く。企業は同社が提供するシステムを用いて、採用候補者の行動や企業に対する印象や感想を分析することができ、採用戦略に活かすことができる。

ビジネスモデル(課金形態)

企業の採用ブランドを構築するサービス事業者は企業から依頼を受け、サービスを提供する対価として、コンサルティング料、または事業者が提供するシステム利用料、データサービス料、動画や求人広告、ウェブサイトの採用特設ページ作成費を企業に請求する。求職者に対する課金はされない。
また課金は発生しないが、企業のATSで管理されている人材プールから採用候補者を選び、その候補者にSNSを使って求人情報を発信している企業もある。

今後の展望

昨今優秀な人材の獲得競争は激しさを増しており、企業は様々な採用手法を講じている。採用ブランド構築もその1つで、採用ブランド構築に力を入れ始める企業が出てきている。企業に対する印象が悪ければ、求職者を逃すことになるため、企業は採用プロセスや実態を見直すことで、求職者とできるだけ良好な関係を構築したいと考えている。そのため、企業ブランド構築サービスに対する需要はこれからも伸び、サービスがさらに拡充されると予測される。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)
小原久美

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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