Candidate Relationship Management(CRM)採用候補者管理

将来の候補者の人材プールとマネジメント

2017年04月19日

Candidate Relationship Management(CRM)
代表的なサービス

採用候補者管理(Candidate Relationship Management、以下CRM)は企業への求職者もしくは潜在的求職者を企業が採用候補者として人材プールのなかで管理し、求人条件に応じて経験、スキルをもとにそのなかから人材を探し出すことができる仕組みである。最近では採用活動にCRMを使う企業が増えてきており、CRMを使用し人材プールを常に管理することで、迅速かつより効果的な採用が可能になると期待されている。

具体例としては、企業がメッセージや求人情報を発信すると、その情報にアクセスした求職者(潜在的求職者を含む)は、企業の人材プール(データベース)のなかに取り込まれる。その管理にCRMを使用して、採用選考時にデータベースから条件に合う人材を選ぶというケースが挙げられる。さらにCRM商品のなかには、モバイルに対応した求人情報を作成できる機能や人材プールからターゲットを絞ってSNSやメールを通じて求人情報を発信することができる機能を備えたものもある。

人事との関連性

欧米では優秀な人材を獲得するために人材プールを活用する企業が多い。転職率が高いこともあるが、例えば、最終選考に残ったが入社できなかった人材や、元従業員、競合会社に在籍する優秀な人材など、現在は採用できないが将来的に採用の可能性がある人材との関係を維持し、必要な時に人材プールのなかから採用候補者として選考できるようにCRMを活用している。CRMにより、積極的に求職活動を行っていない潜在的な求職者も人材プールのなかで管理することが可能になるため、なかなか採用が決まらない求人の採用に有効である。

サービス例

  1. TalentCircles:人材プール管理システムや企業ブランド構築サービスを提供
    レジュメや応募書類の管理、ビデオ面接の実施、候補者の技能比較が可能。企業で活用しているATS(応募者トラッキングシステム)と統合できる。求人条件に合う候補者をマッチングする機能なども備える。
  2. Avature:学生を含めた人材プールの管理に特色を持つサービス
    64カ国、14カ国語に対応しており、 SNSを使った求人広告の配信管理などを含め、人材プールを管理するCRMシステムを提供している。学生を人材プールのなかで管理し、キャンパスイベントの管理、リファラルプログラムなど採用キャンペーンの効果を分析できる。またCRMと連動したATSも提供している。

ビジネスモデル(課金形態)

サービス事業者は企業の依頼を受け、求人情報を企業ウェブサイトやSNSを通じて求職者に配信する。サービス事業者は求職者から得た個人情報を分析し、その情報を企業に提供する。情報提供にはサービス事業者のシステムを使う場合もある。企業はサービス事業者に対し、求人広告作成費、システム利用料、データ料などを支払う。

今後の展望

多くの企業が優秀な人材獲得に力を注いでいるなか、企業が欲しい人材に応募してもらい、いかに人材プールの質を高めることができるかが採用の鍵となっている。またこのサービスを使うことにより、採用にかかる時間とコストの削減が実現できる。そのため、人事関係者のCRMに対する注目度は高く、今後が期待されている。
しかし、企業が質の高い人材プールを管理していくためには、候補者にどのようにアプローチをし、どのような関係を築くのか、企業のイニシアティブが必要とされる。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)
小原久美

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大 出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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