スタッフィング会社用アプリカント・トラッキング・システム

スタッフィング会社用の応募者追跡システム

2017年03月31日

Applicant Tracking System-Staffing Companies
代表的なサービス

アプリカント・トラッキング・システム(以下ATS)は「応募者追跡システム」「採用管理システム」と呼称されることもある。従来の採用プロセスに伴う事務作業やワークフローを管理するシステムである。企業人事向けのATSと同じく応募者を追跡するが、スタッフィング会社が複数のクライアントと取引する特性から独自に発展した。

求人情報の作成や掲載、レジュメの管理、面接の日程調整といった採用プロセス全体の管理サービスに加え、採用効率に関する分析、LinkedInやGlassdoor といった大手ジョブボードへの求人掲載、また、CRMやソーシングなど求職者の発掘、さらにオンボーディングやVMSの機能が追加できるサービスもある。

人事との関連性

スタッフィング会社用のATSであるため人事との関連性は薄い。

サービス例

  1. Talent Rover: ATS、CRM、人事情報システムなどを管理
    ATS、CRM、人事情報システム(以下HRIS)、オンラインタイムシート、経費明細を統合管理できる。20カ国語、100通貨と世界各国の労働規制に対応している。salesforce.comのCRMプラットフォーム上で提供している。携帯端末にも対応する。スタッフィング会社の顧客管理と採用候補者の追跡、スタッフ管理などの機能を持つ。

  2. erecruit:専門職、軽工業系、医療系に特化して一元管理
    専門職、軽工業系、医療系の契約・臨時および直接雇用を扱う。採用プロセス、労務管理、給与計算、請求書や売掛金ほか、スタッフィングに関わるあらゆるタスクを一元管理する。VMSを追加で拡張できる。単体利用可能なオンボーディング向けプラットフォームはerecruitのほかATS、VMS、HRISとも統合できる。

ビジネスモデル(課金形態)

スタッフィング会社がシステムの利用料金をサービス事業者に支払う
スタッフィング会社は通常SaaSの形態でATSのシステムを購入し、スタッフィング会社に必要な営業、採用、バックオフィスの管理をする。1年間のメンテナンス保証付きオンサイトインストール形式で、1回のみ料金を支払うケースもある。

今後の展望

スタッフィング業界やATSの市場は、歴史もあり成熟している。この市場における人材は流動化しており、企業は常に採用プロセスを管理する必要があるため、広義では、今後の展望は明るいといえる。しかし個々の企業は、既存のサイトでさえも、採用方法が進化するスピードに付いていけないと感じている。古いテクノロジーを基本とする確立された製品は、常に新しいソフトウエアに交代を迫られている。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大 出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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