ベンダーマネジメントシステム(VMS)

非正規労働力を管理

2017年03月03日

Vendor Management Systems
代表的なサービス

ベンダーマネジメントシステム(以下VMS)は、派遣労働者、フリーランサー、インデペンデントコントラクター(Independent Contractor個人事業主、以下IC)など、非正規労働者の供給企業を効率よく管理するための企業向け非正規労働力マネジメントプラットフォームシステムである。業務の発注、人材プール、適材の選定、供給サイトのトラッキング、時間管理、請求管理、業務効率の分析、審査プロセス、オン/オフボーディング(※1)、業務完了後のレポーティングなどを行う。

VMSで管理していない企業は、非正規労働者との採用・契約プロセスなどが部門の管理者に委ねられるため、本社で非正規労働力をコントロールできないが、VMSで全社一括管理をすれば、非正規労働者の一元管理と人材の最適化、業務効率化、経費削減が可能となる。

人事との関連性

大企業の多くは、各部門ごとに契約する非正規労働者を本社で把握していないため、非正規労働力に予算を使い過ぎていた。非正規労働者と多く契約している企業がVMSを導入すれば、請求書の一本化やボリュームディスカウントの交渉など、業務効率化により経費削減できる。

サービス例

  1. Zerochaos:非正規労働力を一元管理
    非正規労働者を供給するスタッフィング会社などを一元管理する。適材の選出、採用・契約プロセス、非正規労働者供給サイトのトラッキング、適材の選出、採用・契約プロセス、時間や経費の記録、業務効率の分析などを行い、一目で分かるよう視覚的に表示する。非正規労働者の供給企業の選定やプロファイリング、ICのコンプライアンス、プロジェクトに基づく短期間の有期労働者(Statement of Work、以下SOW)も管理する。
  2. SAP Fieldglass:OB・OG人材も管理
    非正規労働者、IC、SOW、OB・OGの人材プールを管理する。全体の経費削減や労働者の質の向上など効率の良い労働力プログラム構築をサポートする。SAP以外の人事管理および基幹業務(ERP)システムにも対応する。モバイル対応のアプリも提供する。

ビジネスモデル(課金形態)

企業がシステムの利用料をサービス事業者に支払う

企業は通常SaaSの形態でVMSのシステムを購入し、非正規労働者供給サイトのトラッキング、採用・契約プロセス、時間や経費の記録、業務効率の分析、コンプライアンス遵守、人材プール、IC、SOWなどをマネジメントする。

今後の展望

市場の成熟度は高い。企業は非正規労働者との契約に多額の予算を割いているが、VMSは予算を一元管理できるため、費用対効果が出やすい。

※1 オン/オフボーディング オンボーディング(on-boarding)は新たに業務に加わる労働者が、早く業務や組織に慣れ、パフォーマンスが発揮できるよう促す教育・訓練プロセス。オフボーディング(off-boading)はその逆で、スムーズな離職や退職のための支援プロセス。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大 出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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