フリーランスマネジメントシステム(FMS)

フリーランサーを管理

2017年03月16日

Freelance Management Systems
代表的なサービス

ベンダーマネジメントシステム(VMS)が非正規労働者の供給企業を介して非正規労働者を間接的に管理するのに対し、フリーランスマネジメントシステム(以下FMS)はフリーランサーを直接管理する企業向けプラットフォームである。FMSは、企業がフリーランサーの採用やトラッキング、業務委託、評価、報酬の支払いといった一連のプロセスを管理する。フリーランサーの人材プールや、新規フリーランサーの開拓もできる。VMSと統合したサービスもある。

さらにフリーランサーを対象としたサービスもある。請求書の作成や発行、報酬の回収、源泉徴収、支出管理といったバックオフィス業務を代行し、フリーランサーの事業運営を効率化かつ最適化する。労災保険や医療保険、事業保険など法人向けの福利厚生サービスも利用できる。

人事との関連性

フリーランサーを多く起用したい企業は早めにFMSを導入するほうが賢明である。現時点では少人数でも確実にコントロールできる時期からFMSで管理するほうが、人数が増加してからシステムを導入するよりも負担は軽い。

サービス例

  1. WorkMarket:フリーランサーを一括管理
    バックオフィスやデータセンターなどのオフラインで働くフリーランサーの採用、管理、報酬の支払い、レポーティングといった一連のプロセスを管理する。領域はITのほか多岐にわたる。採用プロセスではスクリーニングツールで薬物やバックグラウンド調査を行い、スキルの評価や信頼性を審査する。2015年にIQ Navigator社のVMSと提携。WorkMarketのフリーランサーの人材プールにアクセスできるようになった。
  2. OnForce:VMSとの統合型とフィールドサービス型
    VMSとの統合型は、企業は社内のVMSから直接フリーランサーの検索、交渉、業務委託ができる。また、フィールドサービス型では、企業はIT機器や家電の修理などのフィールドサービス人材の検索、業務委託、管理、報酬の支払いまで行う。
    (注)OnForceではサイトマネジメントシステムと呼んでいるが、フリーランサーに重点を置いているため、TalentTechではフリーランサーマネジメントシステムとみなしている。
  3. MBOPartners:フリーランサーの事務業務を代行
    フリーランサー向けの管理サービス。契約交渉、請求書の作成から支出管理までの事務業務を代行し、フリーランサーが業務に専念できるようサポートする。事業保険、労災保険、医療保険など法人向け福利厚生サービスも提供する。

ビジネスモデル(課金形態)

  1. 企業がシステムの利用料をサービス事業者に支払う
    企業は通常SaaSの形態でFMSのシステムを購入し、フリーランサーの採用から報酬の支払いまでの一連のプロセスをFMSで直接管理する。

  2. フリーランサーが事務代行サービス料をサービス事業者に支払う
    フリーランサーはバックオフィス業務の代行サービス料をサービス事業者に支払う。サービス事業者は契約交渉やバックオフィス業務を代行する。事業保険、労災保険、医療保険など法人向け福利厚生サービスも提供する。

今後の展望

未成熟な市場である。フリーランスへの業務委託費用が膨大だが、企業がそれをコントロールできていないと認識すれば、成長も期待できる。ただし、既存の非正規労働管理システムのサービス事業者が市場拡大のためにこの分野に進出してくる可能性が高い。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大 出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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