クラウドソーシング

多数のフリーランサーに分割業務を委託

2017年02月06日

Crowd Sourced Recruitment
代表的なサービス

クラウドソーシングは、大きなプロジェクトを小さな業務(タスク)に分割してウェブサイトに掲載し、それらの業務を請け負ったフリーランサーなどに報酬を支払うシステムである。

データのタグ付けや検証、確認、手書きデータのデジタル化、データ入力といった、簡単ではあるが大量の作業が必要な業務に使われることが多い。
多くの人材に業務を委託できるサービスで、企業はより速く、高レベルで低コストな労働力を確保できる。ボリュームの大きい単純作業を扱うマイクロタスク型と、プロジェクトごとに作品を募って委託先を決めるコンペ型がある。

マイクロタスク型のamazonmechanical turkやCrowdFlowerでは、一時的に大量の労働力が必要になった際にシステムを利用して、世界中にいるオンデマンドのフリーランサーなどに依頼する。
データ入力やネット上の不適切なコメントの削除といった単純なタスクを細分化し、数千人単位の不特定多数のユーザーに1タスク当たり数セントという報酬でタスクを振り分ける。一人ひとりの役割は小さいが、それらが集まれば大きな仕事になるというのが基本概念である。
コンペ型のDesignCrowdでは、デザイナーはパンフレットやロゴなどのデザインコンペに参加する。企業はそのコンペに優勝したデザイナーに業務を委託する仕組みである。

人事との関連性

従業員と世界中にいるフリーランサーなどの外部人材の活用を人事が最適化できるため、米国ではクラウドソーシングサイトを利用する大手企業が増えている。
人事は対象業務を従業員に依頼すべきか、外部に委託すべきかを、専門性やスピード、コストを見極めて判断する。

サービス例

  1. amazonmechanical turk:マイクロタスク型クラウドソーシング
    写真や動画の識別や重複データの除外など、一時的に大量の労働力を必要とするタスクを世界中にいる多くのフリーランサーに高度なマッチングで振り分けて委託する。膨大なタスクを数分で完了させることも可能である。2016年1月時点で16万超のタスクを掲載。
  2. CrowdFlower:データサイエンティスト向けのプラットフォーム
    総会員数500万人超、世界有数のデータサイエンティスト向けのプラットフォーム。世界各国でマイクロタスクに強いクラウドソーシング企業と提携をしており、多様な言語の様々な案件を実施する。得意領域は画像のカテゴリー分け、データの確認、消費者のSNSへの書き込みを基にしたブランディングの分析、書き込みの削除など単純作業から詳細分析などで、多岐に及ぶ案件を適切に配分し実行する。
  3. DesignCrowd:コンペ型クラウドソーシング
    ロゴ、ウェブサイト、名刺、パンフレットなど42種類に対応。デザインコンペで勝ったデザイナーに業務を委託する。また、コンペ参加金を支払うことで特定のデザイナーを招待できる。登録デザイナーは50万人超。世界160カ国超で利用されており、返金保証制度も設けている(条件あり)。

ビジネスモデル(課金形態)

  1. マイクロタスク型
    企業(発注者)が業務委託費に応じた手数料をサービス事業者に支払う

    企業(発注者)が業務委託費用総額の5~40%程度の手数料をサービス事業者に支払う。手数料は難易度や業務内容により異なる。
  2. コンペ型
    企業(発注者)が基本料金または一律手数料をサービス事業者に支払う

    企業(発注者)がサービス業者が設定した基本料金または手数料(15%など)を支払う。手数料はプロジェクトの特性により異なる。

今後の展望

クラウドソーシングは、世界中の労働力を最適化するもので、大手企業を中心に利用が増えており、急進している市場である。短期的な展望は明るい。マイクロタスク型におけるリスクは、得意とする単純なタスクがAIに取って代わられる可能性である。また、コンペ型におけるリスクは、大勢がエントリーしても採用されるのは1人しかいないコンペ形式の働き方を、フリーランサーが拒否する可能性である。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大 出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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2017年05月19日(一部改訂)