HRテクノロジーコンファレンス&エキスポ2020参加報告 Vol.5

2021年04月28日

HR Technology Conference & Expoでは、カンファレンスを主催するHuman Resource Executive誌が選ぶ2020年の優秀HR製品「Top HR Products of the Year Awards」を受賞した16社のうち、7社の製品デモが行われた。
今年は過去1年間に開発・リリースされた約110の製品がエントリーされた。人事担当者に与える価値の高さ、直観的な操作性、新規性といった基準をもとに審査が行われた。

【2020 Top HR Products of the Year Awards受賞16社】
fig1-3.jpg本コラムでは、Oracle、iCIMS、Workdayの3つの製品について紹介する。

社内副業を促進するOracle 「Opportunity Marketplace」 

49-02.jpg出所:https://www.oracle.com/jp/human-capital-management/hcm-product-update.html

Opportunity Marketplaceは、人材管理システムOracle Human Capital Management(HCM)Cloud に追加された、従業員のキャリア形成や成長機会を促進する機能である。マネジャーは、社内の短期プロジェクト(ギグ)の専用ページに求人情報を掲載し、ギグに参加する人材の社内公募を行う。このシステムは、募集から応募、選考までの管理ができる。

従業員は、専用ページのプロフィールに自己紹介動画、現在の役職名、希望の職種や勤務地、関心分野などを登録すると、おすすめのポストやギグの情報が届く。専用ページのギグを選択すると、仕事内容の紹介動画、勤務地、プロジェクトの開始・終了日、週当たりの就業時間、募集人数、求められるスキル、参加することで得られるキャリア上の利点、チームメンバーの顔写真、ギグの担当マネジャーの連絡先(メールアドレスと電話番号)が表示される。従業員は、自己アピール文などを入力して、応募する。

マネジャーは、作成したギグごとに、応募者名や応募者数を確認できる。勤続年数、所属部署の経歴、過去に参加したギグと当時のマネジャー名、ほかのメンバーからの評価コメントなどをもとに選考を行い、「assign」をクリックして、決定する。
Opportunity Marketplaceを利用することで、従業員はこれまでの職務領域にない新たな経験も積むことができる。専門知識や社内での人脈の構築、モチベーションの向上にもつながる。企業側は、上司や従業員本人も気づいていないスキルを発掘し、従業員の能力を最大限に生かすことができる。また、人材の定着やイノベーションを生む企業文化の醸成にもつなげることができるなど、メリットも多い。

iCIMS 、Microsoft TeamsおよびMicrosoft Outlookとの連携機能で面接関連業務を自動化

iCIMSは、「iCIMS Talent Cloud」のオンライン面接機能と、「Microsoft Teams」および「Microsoft Outlook」とのシステム連携を行った。企業の採用担当者は、候補者と面接官の面接の日程調整と、各面接官からの評価結果の回収を自動的に行うことができる。

採用担当者は、面接の実施期間や所要時間をiCIMS Talent Cloudに入力し、候補者に面接の希望日時を選択するページのリンクが記載されたショートメールまたはメールを送信する。候補者は、表示されたカレンダー上で希望の日時を複数選択して、返信する。iCIMSの面接管理機能「Interview Manager」が、面接官の予定表をもとに、面接日時の候補を選び、面接官に送るメールを作成する。面接官は、受信したメール内に記載されている複数の候補の中から、都合の良い日時を選んでクリックすると、日時とオンライン面接を行うページのURLが候補者と面接官にメールで自動送信される。採用担当者は、候補者と面接官との日程調整をする手間を省くことができる。

面接官全員から候補者についての評価を回収する作業は手間がかかり、フラストレーションを抱いている採用担当者は多い。iCIMSは、顧客から多くの要望に応えて、面接官がオンライン面接を行いながら評価をMicrosoft Teamsに入力する機能を追加した。候補者の顔が映る画面の横に、評価の入力欄が表示される。面接官は、評価項目ごとに、「excellent」「strong」「average」「weak」「DNQ(失格)」の選択肢から評価を選択する。コメントを追記し、チャットで返信するだけで、採用担当者に評価を提出できる。面接官は、候補者とのアイコンタクトを維持しながら、入力を行い、素早く候補者を次のステージに進めることができる。評価はiCIMSのATSに自動保存される。
面接終了後、iCIMSのボットがMicrosoft Teamsのチャットで面接官に評価入力フォームを自動送信する機能もある。スマートフォン用アプリからも入力できる。

必要な人事関連の情報をすぐに得ることができるWorkday 「People Experience」

49-03.jpg出所:https://www.workday.com/en-us/products/human-capital-management/employee-experience.html

Workdayの「People Experience」は、機械学習と自然言語処理の技術を搭載した、人事関連の手続きや情報の検索を簡素化するシステムである。業務システム上で必要な情報を見つけにくいという従業員の不満を解消し、リモートで働く従業員の会社に対するエンゲージメントの維持と生産性の向上につながる。SlackやMicrosoft Teamsとのシステム連携も可能である。

長期休暇を取得する従業員にはMicrosoft Outlookの不在通知設定のリマインド、新任マネジャーにはマネジメントの基本情報、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で欠勤していた従業員には職場復帰の準備に役立つ動画、ほかに未受講の研修についてのリマインドなど、従業員の状況に合わせて個別のコンテンツが人事システムのページに自動表示される。
また、従業員は、チャットボット「Workday Assistant」を利用して、休暇制度や有給休暇の残日数の確認、休暇の申請、給与額の確認などを簡単に行うことができる。

TEXT=杉田真樹

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