LinkedInの生成AIが求職者から採用担当への文書を作成、HireVueがModern Hireを買収、ほか
海外HR Techニュースリリースまとめ
LinkedInやComeetが、文書やジョブディスクリプション(職務記述書)などの作成を自動化するAI機能を発表した。
GoodTimeが面接日程を自動調整し、ノンデスクワーカーの大量採用を促進する製品を発表した。
またSHRMの調査によると、企業の約8割が定着率や離職率の分析にピープルアナリティクスを活用している。
【機能・サービス】
LinkedIn、採用担当者宛ての文書を生成AIが作成する機能の試験運用を開始
LinkedInは、求職者が採用担当者に送る文書をAIが自動生成する機能の試験運用を開始した。この機能は、既にプレミアム会員向けのサービスに実装している。求人情報内の「AIに採用チームへの文書を作成させる」をクリックすると、AIが求職者や採用担当者のプロフィール(職歴や学歴など)、職務記述書、求人企業の情報をもとに文書の下書きを作成する。(5月2日 Engadget)
https://www.engadget.com/linkedins-new-ai-will-write-messages-to-hiring-managers-162528197.html
Comeet、GPTを搭載した「AIアシスタント」機能を発表、職務記述書や面接の質問などを自動作成
中小企業向けATSのComeetは、OpenAIのGPTとComeetの独自技術を活用した「AIアシスタント」機能を発表した。AIが職務記述書、事前スクリーニング用アンケート、面接の質問、候補者に送信するメールの文例のテンプレートを作成する。ComeetはKPMG、Fiverr、Monday.comなどの中堅・中小企業に利用されている。(4月5日 PR Newswire)
https://www.prnewswire.com/news-releases/comeet-ats-launches-powerful-and-industry-leading-recruiting-ai-assistant-301790025.html
GoodTime、「GoodTime Hire for High Volume」を発表、面接の日程の自動調整機能でノンデスクワーカーの大量採用に対応可能
面接や会議の日程を自動調整するプラットフォームのGoodTimeは、ノンデスクワーカーの大量採用に対応した「GoodTime Hire for High Volume」を発表した。これにより、GoodTimeの製品ラインアップは、現業職と非現業職の両方に対応する。
この製品の機能では、ショートメッセージ(SMS)やWhatsApp、メール経由で求職者との複数の面接の日程調整を同時にできる。また、カスタマイズ可能なワークフローエディターの利用により、候補者や採用担当者への招待やリマインドの送信、質問によるスクリーニングなどの定型業務を自動化する。
Spotify、Slack、Pinterest、Okta、HubSpot、Boxなど、300社以上の大手企業がGoodTimeを利用している。(5月4日 GlobeNewswire)
https://www.globenewswire.com/news-release/2023/05/04/2661451/0/en/GoodTime-Announces-High-Volume-Hiring-Product-to-Help-Recruiters-Automate-Interview-Scheduling.html
【M&A】
HireVue、Modern Hireを買収
HireVueは、Modern Hireを買収した。この買収により、HireVueは欧州とアジア太平洋地域に進出した。Modern Hireの顧客450社とHireVueの顧客700社超のうち、重複分は2%未満であるため、HireVueのCEOアンソニー・レイノルズ氏は、「HireVueにとって、異なるクライアントにサービスを提供する大きなチャンスがある」と期待する。
FedEx、 Delta Airlines、LG、PepsiCo、Emirates、Starbucks、 Mercedesなどのグローバル企業をはじめとする両社の顧客数は、約1150社に達した(フォーチュン100企業の6割以上と、8つの連邦政府機関を含む)。
Modern Hireは、60人の心理学者の研究に基づくアセスメントや、仕事をリアルに体験できるVirtual Job Tryoutsサービスを提供しており、HireVueはこれらを活用して、自社商品・サービスの付加価値アップにつなげる。(5月9日 Unleash)
https://www.unleash.ai/hr-technology/hirevue-acquires-modern-hire/
Kariera、CareerBuilderの欧州およびアジア事業を買収
ギリシャの求人サイト運営会社のKarieraは、米国の求人求職サイトCareerBuilderの欧州とアジア(英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、オランダ、ノルウェー、ベトナム、シンガポール、アラブ首長国連邦)の事業を買収した。これにより、Karieraの2023年の連結売上高は3000万ユーロ(3250万ドル)に達する見込みである。
Staffing Industry Analysts(SIA)の「Online Job Advertising Market Update」レポートによると、CareerBuilderの2022年の売上高は2億7500万ドルで、世界のインターネット求人広告サービス会社ランキングの19位である。
Karieraは、2021年に人事管理ソフトウエアのHuman Factor、2022年に観光業界向け採用サイトのWorkathlonを買収した。(5月18日 Staffing Industry Analysts)
https://www2.staffingindustry.com/Editorial/Daily-News/Greek-job-board-operator-Kariera-acquires-CareerBuilder-s-international-business-65562
【調査】
SHRM調査、企業の約8割が従業員の定着率や離職率の分析にピープルアナリティクスを活用
SHRM(米国人材マネジメント協会)の人事におけるピープルアナリティクスの利用動向に関する調査によると、企業の人事担当者の82%がピープルアナリティクスを「従業員の定着率や離職率の分析」、71%が「募集と面接と採用の評価」に利用していると回答した。
しかし、ピープルアナリティクスを導入している企業の人事部の上級管理職の半数以上が、「人事担当者のデータリテラシーのスキルアップ(58%)」「データインフラのサポート(56%)」に対する自社のリソースが不足していると回答した。
また自社のピープルアナリティクスのデータ品質が「高い」または「非常に高い」と回答した人事担当者の割合は、29%だった。
AI搭載のピープルアナリティクスの活用については、95%の人事担当者が「AIアルゴリズムの判断根拠を理解することが重要である」、88%が「理解がなければAIによるレコメンデーションを信頼することはできない」と考えている。
SHRM広報責任者のエミリー・M・ディケンズ氏は「AI搭載のピープルアナリティクスを公正で倫理的、かつ責任ある形で利用するために、企業はガバナンスと質の高いデータの整備に投資する必要がある」と指摘した。(5月17日 SHRM)
https://www.shrm.org/about-shrm/press-room/press-releases/pages/shrm-research-hr-professionals-seek-the-responsible-use-of-people-analytics-and-ai.aspx
【資金調達】
Simpplr、Sapphire Ventures などから7000万ドルを資金調達。資金は製品のR&Dと人員増強に充てる。Simpplrは、イントラネットに、従業員のサイト内行動を基に従業員の本音を分析する「センチメント分析」の機能を組み合わせた、AI搭載の従業員体験(EX)プラットフォームである。従業員は、人事や福利厚生制度、出張ガイドライン、サテライトオフィス、イベントなどに関する最新情報や、従業員名簿など必要な情報を簡単に見つけることができる。ソーシャル機能(いいね、コメント、共有)や、人事や広報などがコンテンツに組み込んだミニアンケートで従業員からのフィードバックをリアルタイムに収集したり、簡単に動画やテキスト形式のコンテンツを作成・管理できる機能も備える。Moderna、Eurostar、Penske、Snowflake、AAA、World Economic Forum、米国オリンピック・パラリンピック委員会など700社超の企業が利用し、リモートワークをする従業員のエンゲージメント向上や社内コミュニティの活性化を図っている。
https://sapphireventures.com/blog/why-were-excited-to-lead-simpplrs-series-d/
TEXT=杉田真樹