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もう1つの座談会。ワークス研究所の2024年を研究員とふりかえりました。
リクルートワークス研究所presents「研究員の『ひと休み ひと休み』Season2」は、研究員の「生の声」をお届けするPodcast番組です。
第10回は2024年の振り返りというテーマで、所長の堀川拓郎と研究員の岩出朋子・小前和智の3人で座談会を実施しました。
本コラムでは、収録音源から抜粋した内容をご紹介します。
※podcast番組はぜひこちらからお聴きになってください。
2024年よく見られたコンテンツ 1位~5位
堀川:ワークス研究所のウェブサイトで2024年に公開されたコンテンツは約300件でした。
2024年のよく見られた記事について簡単に触れながら、みんなで2024年を振り返ってみたいなと思います。
- 第1位「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」
- 第2位「機関誌Works」
- 第3位「大卒求人倍率調査(2024年卒)」
- 第4位「大卒求人倍率調査(2025年卒)」
- 第5位「マネジャーの仕事の変化を『感情労働』の観点から考える」
堀川:ここまで一旦上位5つ、よく見られていたものを振り返ってきましたが、この中で特に気になるものってありますか。
小前:やはり1位の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」は社会的なインパクトがすごく大きいなと思いました。人手不足が深刻だという話はどこでも聞くと思うんですけれども、それがさらに将来的に大きくなるという、本当にインパクトのある研究だなと思います。
岩出さんは現在エッセンシャルワークを中心に研究されているということですけれども、いかがですか。
岩出:未来予測2040プロジェクトから派生して、今年「令和の転換点」というプロジェクトが始まっています。エッセンシャルワークの現場、病院や介護施設といったところ12か所にリアルで伺って、どういう現場なのか、どういう改善が行われているかというのを一つずつ取材しています。2025年は現場で起こっている改善をもっともっと広げていけるような仕事にしたいなと思っています。
堀川:現場で取材している中で感じられたことは何かありますか。
岩出:現場がすごく努力をしても、法改正など大きいものを変えていかないと根本的なところが変わらないというところがあるなと思いました。医療・介護に限らず、運輸とか物流の問題でもそうですし、いろんなものが組み合わさって複雑な問題になっていて、何かを1個解決したら全部解決、みたいにはならない。こんがらがっている。それを1個ずつ紐解いて小さく細分化したものを1つでもワークスから発信できたらいいなということですね。
堀川:ありがとうございます。堀川はですね、第5位の「マネジャーの仕事の変化を『感情労働』の観点から考える」という筒井研究員のコラムのがすごく印象に残っていまして。これもSNS含めて反響がとても多かったコンテンツですね。
昨今マネジャーの業務的な負荷が非常に大きいということが社会的にもよく言われているんですけれども、このコラムでは、量だけではなくて質的な負荷も非常に高まっていると。
マネジャーはメンバーをケアすることも求められているし、逆にマネジャー自身がケアされる対象でもあるはずなんだけれども、そこがなかなかケアされていない。マネジャーを感情労働という切り口で捉えたというのが非常に新しかったということで、その点で多くの人から反響をいただいて、非常に印象に残っています。
2024年よく見られたコンテンツ 6位~10位
- 第6位 Works誌183号「Z世代 私たちのキャリア観 自分らしさと不安のはざまで」
- 第7位「過去10年で2.5倍に…急増する『外国人労働者』受け入れ再考の時 日本人の賃金との関係性」
- 第8位「研究プロジェクト」
- 第9位「対話型の学びが生まれる場づくり」
- 第10位 Works誌182号「AI時代、私たちはどう働くか」
堀川:「急増する『外国人労働者』受け入れ再考の時 日本人の賃金との関係性」というのが第7位でしたけれども、2024年は賃金に関連するニュースが非常に多かったかなと思うんですが、小前さんどうでしょう。
小前:そうですね。この7位を書かれた坂本研究員の一連のコラムがかなり注目されたなというのは私も印象としてあります。坂本さんと一緒に賃金のプロジェクトも実施しまして、それに対しての企業の人事の方々の反響も大きかったですし、あとメディアの方々も注目されているなというのはすごく感じた一年でした。
賃金そのものも上がっていますし、物価上昇が厳しい中でいかに生計を立てるかという意味で、本当にいろんな方がそれぞれの状況に応じて感じているところがあるので、そういったところを整理できたらなというのを感じました。
岩出:私は19位にある「非正規雇用者の賃金が低いのは世界共通なのか?」という小前さんのコラムがとても気になっています。小前さん、この賃金が低いかという話なんですけど、今改善を含めていろいろなことが日本でも進んでいると思うんですけれど、小前さんは今後どんなふうに変わっていくと考えていらっしゃいますか。
小前:ありがとうございます。岩出さんも研究されていることなので、今度ゆっくりディスカッションさせていただきたいなと思います。個人的な感想・感触として申し上げると、最低賃金を中心に、非正規雇用と言われている人たちの賃金水準というのは比較的上昇率が高いので、そういった意味では改善がとても進んでいる。あとは今話題にもなっている社会保険の適用の拡大、そこが進むと単に賃金が低い高いだけじゃなくてセーフティーネットが広がっていくという意味で、すごく変化の大きい状況になるんじゃないかなと思っています。
堀川:ありがとうございました。今小前さんから非正規の話がありましたけれども、岩出さんも今年「『非正規雇用』という一括りのラベルをやめませんか」というコラムを初めて書かれました。どんなことを書いたのか、どんな反響があったのか簡単に教えてもらえますか。
岩出:私自身リクルートにはアルバイトで入社しているんですけれど、「非正規雇用」という括りにすごく疑問を持っていて。私の志は「アルバイト経験をキャリアにする」なんですが、非正規雇用はキャリアとして認められないというようなこともあって、この非正規雇用に興味がありました。このコラムを書いて思ったのは「非正規雇用」という一括りで問題を語れる時代ではないということで、今後この「非正規雇用」という呼び方をやめることだったり、違う呼び方をするなどを含めて考えていく機会を自分も持ちたいですし、皆さんも持っていただけるような発信ができないかなというふうに、今思っています。
※この座談会の続きはぜひpodcastでお聞きください。
■リクルートワークス研究所presents 研究員の「ひと休み ひと休み」
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堀川 拓郎
2001年株式会社リクルート入社。2019年リクルート住まいカンパニー 経営管理室 室長、2021年 リクルート 人材・組織開発室 室長/ヒトラボ ラボ長に就任。
人事領域における人材開発、組織開発、次世代リーダーシップ開発、R&D、DE&Iに従事。
2023年4月リクルートワークス研究所に参画。リクルートワークス研究所 副所長。
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岩出 朋子
大学卒業後、20代にアルバイト、派遣社員、契約社員、正社員の4つの雇用形態を経験。2004 年リクルートHR マーケティング東海(現リクルート)アルバイト入社、2005年社員登用。新卒・中途からパート・アルバイト領域までの採用支援に従事。「アルバイト経験をキャリアにする」を志に2024年4月より現職。2014年グロービス経営大学大学院経営研究科修了。2019年法政大学大学院キャリアデザイン学研究科修了。
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小前 和智
東京理科大学理工学部工業化学科卒業、京都大学大学院工学研究科合成・生物科学専攻修了後、横浜市役所などを経て、2022年4月より現職。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。