野望は大きく「国も地方も含めた公務員制度の刷新」!

橋本賢二

2024年12月13日

リクルートワークス研究所presents「研究員の『ひと休み ひと休み』Season2」は、研究員の「生の声」をお届けするPodcast番組です。
第7回は、研究員の橋本賢二に話を聞きました。本コラムでは、収録音源から抜粋した内容をご紹介します。
※podcast番組はぜひこちらからお聴きになってください。

橋本さん作おりがみ
※橋本家作(右:「ヒュドラ」井上岳哉氏創作、左:「キングギドラ」小笹径一氏創作)、複雑系折り紙(詳細はPodcastでご確認ください。)Photo:maki)

この国の幸福度が上がることに貢献したい

――橋本さんは直近ではどんな研究に取り組まれていましたか?

橋本:最近ですと、昨年の機関プロジェクトで取り組んだ『真・人事の役割』というのは思い出が強くあります。この研究は人事の役割の本質を捉えにいったものでして、有識者のインタビューとかアンケート調査の活用だけじゃなくて、実際に人事の責任者をしている方々を巻き込んで報告書に仕上げていったというのがワークスらしい研究成果だったんじゃないかなと思っています。

――その研究をやりたいと思ったきっかけはどんなものだったんですか?

橋本:あんまり深く言うと前職批判になっちゃう可能性があるので言えないですけども、でも前職の実体験が強いと思っています。ザ・霞が関というのを想像していただくと、そこに生じている問題って人事の問題が多くあるんですよね。あの界隈ってどうしても旧来的な人事の権化のような世界も残っているので、この香りってあそこだけじゃないよなと。他のいろんな企業にもきっと溢れているんじゃないかと思っていて、だとしたらそういった組織がアップデートできるように役割を突き詰めていくっていうのも、ちょっとだけこの国の幸せ度が上がることに貢献できるんじゃないかと信じてやっていました。

――研究している中で何か面白いエピソードとかありましたら聞かせてください。

橋本:一番面白かったのは人事を専門としない方々にヒアリングに行くってことをしたのが面白くて、例えば哲学とか演劇の先生方に会いに行ったんですよね。そういった方々から得られる示唆っていうのが、そのまま人事にも通じるところがあってそういうのを読み解いていくのが楽しいですし、フィールドが違うけれども共感できるものがあるっていうのはすごく新しい感覚でしたよね。

――面白いですね。ちなみに演劇とか哲学とかからヒントになったことで、人事にも通ずるみたいなことを簡単にご紹介してもらえますか?

橋本:コンテンツでも公開しているんですけど、平田オリザさんのお話の中でですね、演劇って他者性があったりとか、あとフィクションなので演じるってことをするんですよね。そうすると話しやすくなるんですよ。よく英語で話すと人が変わるみたいな人いるじゃないですか?

――いますね。

橋本:あんな感じで役割を与えると人が話せるようになったりすることもあるので、なんかそういうのって人事が役割を与える、人に役割を据えたときに、人が変わって成長したりなんていうのにもつながるでしょうし、あとそういう場をいかに設計するのかっていう示唆にもなりそうで楽しいなって思いましたよね。

今年関わっているプロジェクトは、全て私の野望に通じています

――ありがとうございます。橋本さんの今後の野望などがあれば教えてください。

橋本:はい。今年関わっているプロジェクトっていくつかあるんですけど、全て私の野望に通じていると思っていて。その野望っていうのが「国も地方も含めた公務員制度の刷新」だと思ってます。旧来型人事の総本山じゃないですか?まさに公務員って。でもそこが宗旨替えしたら面白いと思いませんか? 宗派が変わるみたいなことが起こったりしたら、この国の企業とか団体とかいろんな組織が公務員組織になぞらえて作っているところもあるので、きっとインパクトが大きいんだろうなと思っています。

――確かに結構壮大な話ですね。もうちょっと具体的に教えてもらってもいいですか?

橋本:今の公務員制度って下手すると戦前の名残をずっと引きずって戦後に仕組みが整えられたので、約80年前、さらには150年前のハードで設計されているんですよね。これはこのハードのままソフトウェアを更新し続けてもちょっと限界ありませんかと、ガラケーのままアプリを入れ続けるみたいな世界ですよね。もはやパンクしてますみたいな世界が生じてるんで、そういうものってやっぱりある程度時代に合わせて変えていかなきゃいけないし、でもこれ1人でやるのは絶対不可能なんですよ。世論とか法律が必要なので、だからこそこういった研究所っていう場で発信させてもらって、時間がかかってもそういった仲間を募って作っていきたいなと思っているので野望とさせていただきました。

――ハードとかソフト両方とも変えていかなきゃいけないって結構大掛かりなプロジェクトだなっていうふうに思うんですけども、そのときにワークスで言うドミノの1枚目じゃないけれども、なんか最初、こういったところがうまく倒れていくと世の中とか社会がこう変わっていくんじゃないかみたいな、その兆しというか仮説みたいなものって橋本さんの中にはあったりしますか?

橋本:あまりにも壁がでかすぎて、どこがドミノとして倒れるのか、そもそもドミノの厚みが分かってないっていう、ここかみたいに押しても壁だったみたいな世界があるんで、どこなんだろうって今探している状態ですよね。でも絶対どっかに穴があるっていうか、ここっていうポイントがあると思ってて、それはいろんな方々に協力いただきながら探せたらいいなっていうふうに思ってますね。いや、もしそれ分がかるんだったら野望じゃなくて、もうやっていますね。

――確かに。ありがとうございました。

■リクルートワークス研究所presents  研究員の「ひと休み ひと休み」
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橋本 賢二

2007年人事院採用。国家公務員採用試験や人事院勧告に関する施策などの担当を経て、2015年から2018年まで経済産業省にて人生100年時代の社会人基礎力の作成、キャリア教育や働き方改革の推進などに関する施策などを担当。2018年から人事院にて国家公務員全体の採用に関する施策の企画・実施を担当。2022年11月より現職。
2022年3月法政大学大学院キャリアデザイン学研究科修了。修士(キャリアデザイン学)