分析2 役割に虫眼鏡をあててみた(3)

2019年05月30日

分析②-3

衝撃的な発見です。
役割を認識していなかった人が、こんなにたくさん。

今回の調査では、思いもかけない意外な発見がありました。私たちは、多くの人は各ステージにおいて、少なくともひとつは何らかの役割を担っていると考えていました。そして、役割について確認する問いには、幅広く7つの役割を用意し、それを「担っていた」か「少しは担っていた」か「担っていなかった」かで問いました。しかし結果を見ると、どの役割についても担っていなかったと答えた人が多くいたのです。つまり役割を認識していない人が、たくさんいたのです

役割認識についてステージ①からステージ⑤まで確認したところ、 ステージ①においては約6割の人が、ステージ⑤においても3割近くの人が、役割の認識をしていませんでした。確かに、ステージ①は仕事に就いて初めてのステージですので、なかなか自分の役割を認識することは難しいかもしれません。しかしながら、ステージ⑤ともなれば、豊富な経験や知識を有しているはずです。それらを生かして、たとえばアドバイザーとして周囲の人に接することは可能でしょう。もちろん、役割のなかには、マネジャーのように誰かから設定されるものもあります。しかし、プレイヤーやサポーターなど、どの役割にも該当しないという人は、本来いないはずです。

大切なことは、役割は誰かに与えられるものではなく、自分で設定するものと考えることではないでしょうか。「自分は、現在のステージにおいてどのような役割を担うべきか」と自身に問い、役割意識を持って日々の仕事に取り組むことが、「役割を担っている」ということになり得ます。16ページで述べた通り、多様な役割を担うことはキャリアの展望や満足に影響しています。そして、どのような領域のどのような仕事であっても、何らかの役割を担うことができるはずです。

text:津田郁
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