コロナ禍でも成長を続けるHRテクノロジーのマーケット
グローバルセンターでは、2016年、2018年と「人事が注目するHRテクノロジー」コラムで、タレントアクイジション(Talent Acquisition:有能な人材の獲得をする)を中心とした、HRテクノロジーについての研究を紹介した。調査開始4年後の2021年は、新型コロナをきっかけとして、非接触、非対面の社会を実現するためのテクノロジーの活用が急拡大している。
ニューノーマル時代に求められる非接触、非対面テクノロジー
非接触のテクノロジーは、従来からある技術に加えて最先端の技術まで、多種多様なものが存在する。例えば、身近で利用が拡大しているのは、ビデオ会議であるが、ビデオ面接や、採用説明会、仮想オフィスなどバーチャルで行うことも当たり前になりつつある。また、近年ではVR(仮想現実)上の3D空間を用いて、リアルな場の再現度を高めるなど、リアルとバーチャルがシームレス化した世界ができつつあり、教育研修の場にも利用されるようになった。また、ロボットの実用化のスピードも加速している。ビッグデータの解析や空間認識、可視化などの技術が高まることで、サービス業では既に人間の代わりにロボットが受付や配送、配膳、話し合いなどを担うこともでき、その領域も拡大しつつある。ニューノーマルにテクノロジーは欠かせない存在となっている。
2021年、人間はテクノロジーとどのように共存するか、というステージへと移行した。オンラインとオフラインの世界では、必ずしもオンラインが優勢ということではないが、人間ができることは何か、テクノロジーに任せたほうが良いものは何か、見極めと棲み分けが進むだろう。
HRテクノロジーは41領域へと拡大
2020年までに掲載した2つのコラムでは、HRテクノロジーは36領域だったが、新たなサービスが加わり、41領域へと拡大した。本コラムでは、2021年調査で新たに追加された5領域のサービス概要、主要なサービス事業者と製品サービスの特徴、ビジネスモデルについて解説する。「現時点で、HR領域のテクノロジーは何ができるのか」を把握する一助にしていただきたい。
1)ダイレクトソーシングプラットフォーム
2)採用マーケティングプラットフォーム
3)オンラインイベントプラットフォーム
4)労働市場インテリジェンス
5)RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
上記のRPAについては、日本においても多くの企業が導入している。国内RPA市場は、矢野経済研究所の予測によると、2020年度では531億6000万円、2023年度では868億円と、今後大幅な成長が期待されている。新たな採用テクノロジー製品を導入し、うまく活用することで、採用対象層の拡大、質の向上、採用日数の短縮、コストの削減などにつながることも多く、人事には欠かせないツールと化した。大手企業を中心とした人事では、日々情報収集や、製品の探求を続けている。人とテクノロジーの融合、自動化が激化することで、これからの人事にはさらなる変化が求められるだろう。
図 HRテクノロジーマップ
TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem 9.0(2020.11)"を基に作成(2021.2)
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グローバルセンター
村田弘美(センター長)