ソースコン参加報告(3)

敏腕ソーサーが愛用するオンラインツール

2018年02月05日

敏腕ソーサーが愛用するオンラインツール

ソーサーの中には新しく出現するツールを次々と試用し、役立つものをソースコンで紹介する熟練ソーサーがいる。ソーシング前の戦略立案を助けるものから、候補者の特定、連絡先の検索および推測、グーグルに代わる検索エンジンなど、実に多くのツールを組み合わせながら使いこなしている。今回のソースコンで敏腕ソーサーたちが薦めていたツールの中から、いくつか紹介する。

採用プロセス全体を把握しておくためのツール

Coggle - マインドマップ作成ツール。無料のプランでは、マインドマップを3つまで作成できる。オンライン上にあり、他者を招待して自分のマインドマップを共有したり協働できる。item_trend_sourceconfall17onlinetools_column_trend14_ph_coggle648.png

Trello - タスクやプロジェクトを管理するツール
ウェブベースで、他者と共同で作業でき、ソーシングに関する情報を集約しておける。

  • チェックリスト機能があり、採用マネジャーとのインテイクミーティングでの確認事項に利用できる
  • 職務明細を作成し、メモやアップデートを加えられる
  • 検索文字列を保存しておき、Trelloから直接検索をかけられ、その結果をHRと共有できる
  • フェイスブックで検索した結果も保存できる
  • 候補者のリンクトインプロフィールをパイプラインにクリップできる
  • 他に利用しているツールや拡張機能をすべてここで整理できる。そして、チェックリスト機能を利用して、各ツールで検索後にチェックを入れていく
  • ワークフローの管理ができるので、次のプロセスを確認しながら進めることができる
  • 保存したい情報(候補者の連絡先、候補者からのメールなど)をTrelloにメールで送付できる

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候補者を発掘するツール

Hiretual - 求人広告や職務経歴をアップロードすると、条件欄に関連する職務名やスキルが自動的に入力される。内容を適宜調整して検索をかけると、マッチする人材をウェブから探し出し、ランク付けして情報をひとまとめにして表示する。たとえば、候補者の連絡先(メールアドレス、電話番号、SNSアカウント)、現在の推定報酬額(給料とボーナス)、求人との適合性、転職の可能性、同僚からの評判など。プロジェクト管理やCRM機能も搭載。

Authentic Pros - エンジニアやデザイナー約4,800人のSNSをリスト化しているサイト。

Get Coder - Githubのディベロッパーのソースコードを分析し、彼らの経験とスキルをまとめたサイト。国、地域とスキル、言語を入力して、マッチするエンジニアを探す。

候補者の連絡先を突き止めるツール

Elucify - 企業名と役職を入力すると、それに当てはまる人のメールアドレスがわかる。緑色は確認済み、黄色は不確実。

Toofr - 候補者の姓、名、企業名を入力すると、その会社のメールアドレスの傾向やサーバーから、その人物のメールアドレスを予測し、信頼度スコアと共に表示する。

ICWATCH - 諜報機関に勤める人を検索できるサイト。勤務先、職務名、就労期間などがわかる。データ源は主にリンクトインで、ホストはウィキリークス。

グーグル以外の検索エンジン

eTools - スイスの検索エンジンで、世界で主要なサーチエンジンを素早く検索する。独自のインデックスやデータベースを持たず、合計16のデータソースから並行して情報を抜き出す。どの検索エンジンを重視し、あるいは無効にするかを自由に選択できる。

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Million Short - 上位100位や上位1000位などを検索結果から除外することができるため、通常のサーチでは目にしないような結果を得ることが可能。

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そのほか、最近は匿名検索エンジンが増えつつあるそうで、ユーザーのIPアドレスを残さずクッキーも追跡しない(例、GibiruPeekier)とか、検索データを残さない(例、searX)検索エンジンも紹介された。

候補者へのメールを添削するツール

Textio - 効果的な求人広告を作成するために、添削&分析し改善方法をアドバイスする。

Joblint - 技術職の求人広告を分析して、性別、文化、現実的、リクルーティング的に問題があるかを指摘するツール。

ツールを活用する企業事例

<アディダス、キューリグ、リーボック>
SkillSurveyを使用。SkillSurveyは予測解析ツールで、行動面接の質問に対する候補者の回答に含まれた言葉のチョイスを分析する。このデータ解析により、今後の業績や早期離職リスクといったあらゆることを予測できる。

<シティグループ>
Koruを使用して新卒採用をしている。リクルーターが企業風土に馴染んだ現従業員の性格特性などから理想的な候補者のプロフィールを作成すると、Koruはそれにマッチする候補者をアンケートに対する彼らの回答から特定する。文化的な適合性だけでなく、過去の採用選考で発生した無意識の偏見をも特定できるため、それを避けることでシティグループは多様性のある労働力を構築しつつある。

<Hubspot>
Enteloを使用。Enteloはさまざまな候補者プロフィールを集約する。潜在的候補者のプロフィールを事前審査してリクルーターに提供するため、リクルーターは求人案件に最も合う候補者のみを選考することができる。Enteloのリストが希望条件外の候補者を含んでいる場合は、リクルーターは設定を調整するか、プロンプトを入力すればよい。Enteloの導入により、Hobspotでは候補者からのメール返信率が上がったという。

高度なツールを使う前に、基本的なソーシングスキルと対人スキルを磨いておく

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ロッキード・マーティンの調査技術者ディーン・ダコスタ氏も、アップルの上級ソーサートッド・デイビス氏も、ソーサーとして長いキャリアを目指すのであれば、ソーシングの基礎をしっかりと構築しておくことが前提だと口を揃える。ダコスタ氏は、「ブール検索、メールアドレス検索、リサーチなどソーシングの基本を学んでおくことが大切。ツールはソーシング業務をより速く行えるようサポートするものであり、置き換わるものではない」と前置きをしてから、数々のツールを紹介した。

「テクノロジーは今後も進化を続ける。機械に任せられる候補者特定やリサーチ・分析領域のスキルはほとんど重視されなくなる。ソーサーにとって非常に重要となるのは、その変化に対する順応性と対人スキル(電話、マーケティング、営業、SNSなど)だろう。共感力、熱意やウィットはAIが太刀打ちできない領域。AIはソーシング業界を乗っ取ろうとしていない」とプロアクティブ・タレント・ストラテジーズ創設者ウィル・ステイニー氏はまとめた。

次回は、上昇するリクルーターの負荷を軽減し、採用機能を効率化するためにソーシング部隊を立ち上げたレッドハットとディズニーによるセッションを紹介する。