HREが2023年の優秀HR製品を発表、Xがマッチング向上のためにユーザーの職歴や学歴収集へ、ほか

2023年09月22日

海外HR Techニュースリリースまとめ

CareerBuilderは、求人広告の掲載および履歴書データベース検索サービスに、応募課金型と閲覧課金型の料金体系を追加した。
Xは、マッチング精度向上のためにプライバシーポリシーを改定し、ユーザーの職歴や学歴データなどの個人情報を収集する方針を示した。
またResumeLabの調査によると、Z世代の約8割がジョブホッパーであると回答した。

【注目トピック】
HRE、2023年の優秀HR製品「Top Products of the Year」を発表

HR Technology Conference & Expoとカンファレンスを主催するHR Executive(HRE)誌は、8月末に2023年の優秀HR製品「Top HR Products of the Year」を発表した。
過去1年間に開発・リリースされた約120製品がエントリーされ、13製品が受賞した。人事担当者への価値提供や革新性といった基準を基に審査が行われた。
同誌によると、ChatGPTなど生成AI技術を活用した製品が多く見られた。また、従業員が持つスキルの把握やキャリア形成を促進するタレントマネジメントシステムなども複数あった。一方、DEI(多様性・公平性・包括性)やウェルビーイング関連の製品は減少傾向にあるという。
2023 Top HR Products of the Year 受賞13製品

領域 製品名 概要
コア人事機能 Ideal Talent Marketplace(Ceridian) フードや医療などの時給制求人と臨時労働者をつなぐマーケットプレイス
Workday VNDLY(Workday) 業務委託や派遣労働者などの外部人材を管理するベンダー管理システム
アナリティクス Workplace Dynamics(Visier) 従業員の協働の阻害要因や燃え尽き症候群などのリスクをリアルタイムに可視化しフィードバックを収集する
従業員体験 RemoteBridge Onboarding(RemoteBridge) バーチャル採用イベント・研修プラットフォーム
人材育成 Oracle Grow(Oracle) AIが従業員の職務やキャリア目標などを基にスキルの習得計画やキャリアパスを提案する
タレントマネジメント TalentGPT(Beamery) 生成AIが従業員へのキャリアパスの提案や昇進に必要なスキルの提示を行う
Confirm(Confirm) ピアレビューやマネジャーからのコメントを基にGPT-3で人事評価のドラフトを自動作成するパフォーマンス評価プラットフォーム
Phenom X+(Phenom) 生成AIがパフォーマンスの高い従業員の特定や、離職リスクの高い従業員の特定、離職防止策の提案を行う
CompAnalyst Pay Equity Suite(Salary.com) 給与の公平性を保つ報酬管理プラットフォーム
Work Ontology(Reejig) 従業員のスキルやポテンシャルを可視化する労働力インテリジェンスプラットフォーム
労働力管理 Global Workforce Management(Rippling) 国外在住の人材との雇用契約や給与支払いなどを代行するEOR(代替雇用)サービス
人材獲得 Agile Assessment(HireVue) 候補者の思考およびワークスタイルを特定する行動面接およびゲーム形式のアセスメントサービス
SeekOut Assist(SeekOut) GPT-4でソーシングやメール作成を自動化する

 

受賞製品の1つであるRemoteBridgeは、ブラウザベースの没入型3Dプラットフォームで、企業が孤島を舞台とする仮想空間で採用イベントや導入研修、チームビルディングのイベントなどを実施する。RemoteBridge Onboardingの導入研修では、内定者がアバターをつくり、ほかの参加者や従業員と交流できる。人事や経営幹部が主催するパネルディスカッションや説明会にも参加できる。少人数のグループで問題を解くワークショップや、宝探しや謎解きのゲーム、ダンスパーティーなどのアクティビティなどもある。島内に複数ある会場には、ジップラインやボートで移動する。審査では、通常のウェブブラウザで利用できる利便性と、視覚に訴えるダイナミックなコンテンツが高い評価を得たという。
顧客はGoogle、Dell、Intel、Microsoft、Amazon、Mitsubishi、Novartis、Salesforceなど。

【機能・サービス】
CareerBuilder、求人広告の掲載サービスに応募課金型、履歴書データベース検索サービスに閲覧課金型の料金プランを追加

大手求人求職サイトのCareerBuilderは、求人広告の掲載サービスに、募集条件を満たす求職者から応募があった際に料金が発生する、応募課金型の料金体系を追加した。この料金体系には、「応募開始後に支払う(pay-per-started-application)」と「応募数に応じて支払う(pay-per-application)」の2種類の料金プランがある。
CareerBuilderはまた、履歴書データベース検索サービスに、従来の月額制(250ドル)の料金体系に加えて、履歴書を閲覧した際に料金が発生する閲覧課金型「Pay Per Resume」の料金体系を追加した。
この新しい料金体系により、企業は初期費用を削減し、費用対効果を高めることができる。(8月21日 PR Newswire、9月5日 PR Newswire、9月7日 Staffing Industry Analysts)
https://www.prnewswire.com/news-releases/careerbuilder-launches-pay-per-resume-say-goodbye-to-traditional-hiring-costs-301905091.html
https://www.prnewswire.com/news-releases/introducing-careerbuilders-pay-for-performance-the-most-flexible-way-to-advertise-jobs-301917882.html
https://www2.staffingindustry.com/site_member/Editorial/Daily-News/CareerBuilder-announces-new-pricing-plans-66737

 

X、プライバシーポリシーを改定、マッチング向上のためにユーザーの職歴や学歴データなどの個人情報を収集

X(旧Twitter)は、プライバシーポリシーを改定し、9月29日からユーザーの職歴や嗜好に関するデータを収集・利用して仕事を推薦する意向を示した。プライバシーポリシーによると、「ユーザーに有望な仕事を紹介したり、ユーザーが求人に応募した場合に、その求人元の潜在的な雇用主と当該ユーザーに関する情報を共有したり、雇用主が有望な候補者を見つけられるように、ユーザーの個人情報(職歴、学歴、仕事に関する希望、スキルおよび能力、求職活動および内定などに関する情報)を収集して使用することがある」という。
Xは金融サービスや採用サービスなどの分野にも事業拡大を図っている。2022年には技術系人材と企業をマッチングするIT系採用プラットフォームのLaskieを買収した。また独自の決済機能を立ち上げるため、米国の複数の州で資金移動業者のライセンスを取得している。(9月1日 CNBC)
https://www.cnbc.com/2023/09/01/musks-x-to-collect-biometric-information-and-employment-data.html
https://twitter.com/ja/privacy

【M&A】
Howdy.com、GeekHunterを買収

米国企業と中南米の技術者をつなぐ人材発掘・管理サービスのHowdy.comは、ブラジル最大級のIT人材タレントマーケットプレイスのGeekHunterを買収した。この買収により、米国企業がリモート採用できるIT人材を増やす。
GeekHunterには、AI開発、Android、Angular、DevOps、GoLang、Java、Kotlin、Node.js、Python、Ruby on Railsなど100種類以上のスキルを持つ約40万人のエンジニアと、1万3000社超の企業が登録している。
GeekHunterとHowdy.comは、人材の発掘やコーディングテストなどによるテクニカルスキルの評価、カルチャーフィットを見る面接、雇用契約、給与計算、PCや周辺機器の支給などの業務を代行する。両社の顧客は、Accenture、Amazon、DISCO、IBM、Truepill、Workrise、Vantaなどで、2024年までに3500万ドルの売上達成を見込んでいる。(8月22日 PR Newswire)
https://www.prnewswire.com/news-releases/howdycom-acquires-brazilian-talent-marketplace-geekhunter-as-demand-for-ai-engineers-increases-301906503.html
https://www.howdy.com/
https://geekhunter.com/

【調査】
ResumeLab調査、Z世代の約8割が「ジョブホッパーである」と回答

ResumeLabがZ世代(1990年代半ば~2010年代前半生まれ)の労働者1100人超を対象にした調査によると、83%が「自分はジョブホッパーである」と回答した。Z世代は転職を「自分のスキルの幅を広げ、新たな挑戦を追求し、自分の価値観や目標に沿った環境を求めるための戦略的手段としてとらえている」という。
現在の仕事を何年続ける予定かという質問については、43%が「2年」と回答した。そのほか、「1年未満(4%)」「1年(19%)」「3年(22%)」「4年以上(13%)」であった。
仕事を辞める理由は、「残業の多さ(41%)」「価値観の衝突(35%)」「仕事への不満(33%)」「給料が安い(32%)」「上司への不満(26%)」「ワーク・ライフ・バランスがとれない(24%)」であった。
仕事の原動力について聞いた質問で回答が多かったのは、「自己啓発(35%)」「自分の力を試したいという願望や野心(28%)」「家族に対する責任(28%)」「変化をもたらしたいという願望(25%)」「目的意識を持つこと(25%)」などであった。
さらに、Z世代の74%は、「適した就職先が見つからなければフリーランサーとしての働き方を検討する」としている。(9月4日 ResumeLab)
https://resumelab.com/career-advice/generation-z-and-work

TEXT=杉田真樹

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