Googleが有料求人広告サービスの試験運用を開始、リファラル採用プラットフォームの利用が拡大、ほか

2023年04月14日

海外HR Techニュースリリースまとめ

Googleが有料求人広告サービスの試験運用を開始した。
HireologyやBeameryが、ジョブディスクリプションの自動生成機能を発表した。
Professional Diversity Networkが、リモートで働くソフトウエア開発者の採用プラットフォームのRemoteMoreを買収した。

【注目トピック】
リファラル採用を自動化、売上高20倍のプラットフォームのサービスも

従業員が友人や知人を紹介するリファラル採用は、スキルのマッチング精度が高く、採用後の離職率が低いという利点があり、米国で古くから利用されている採用手法である。企業はリファラル採用のプラットフォームを利用し、従業員からの人材の紹介の受付、進捗管理、紹介者への紹介報酬(リファラルボーナス)の支払いといったプロセスを自動化している。同プラットフォームの代表的なサービスには、Hireology(旧EmployUs)やIntrroなどがある。

Hireologyのリファラル採用管理プラットフォームは、企業が従業員に人材の紹介を依頼するメールやショートメッセージを作成し、一斉送信する。LinkedInとのシステム連携で、従業員の人脈にワンクリックで自社の求人を送信できる。また、人事が従業員から紹介を受け付けたり、紹介報酬の支払いなどの進捗を確認したり、紹介を受けた際にメッセージを自動送信したりする管理機能もある。

英国発のIntrroでは、企業がSlackやMicrosoft Teams、メールで従業員に人材の紹介を依頼する。従業員がIntrroに登録して、LinkedInのアカウントを同期させると、知人の一覧が表示され、そのなかから適した人材を選択し、求人を送信する。受信した候補者は、「Yes」または「No」をクリックするだけで、紹介依頼に対応できる。候補者が「Yes」を選択すると、候補者と採用担当者をつなぐ紹介メールが自動送信される。Airwallex、Riskified、HelloFresh、ApplyBoard、Freshaなどの企業が利用しており、Intrroの売上高は2021年の1年間に20倍に増加した。Intrroによると、リファラルによる候補者はほかの候補者よりも採用される確率が7倍高く、高いパフォーマンスを発揮し、長く定着する傾向がある。また、紹介報酬は職種や採用の難易度によるが、通常1000~2500ドルだという。

【機能・サービス】
Google、有料求人広告サービスの試験運用を開始

Googleが有料求人広告サービスのベータ版を公開した。企業が直接投稿した求人広告は、Googleの検索結果ページの上部に表示される。居住地などをもとに配信対象を絞り込み、学歴や資格などの条件を設定することができる。(4月3日 RecruitmentMarketing.com)
https://www.recruitmentmarketing.com/industry-insights/google-sponsored-job-ads/

Hireology、ジョブディスクリプションを自動生成する機能「Beaker」を追加

ATSのHireologyは、ChatGPTを搭載したAI採用アシスタント「Beaker」を発表した。企業が業種や職種、勤務地、雇用形態、給与額などを入力すると、プロンプト(命令文)が自動入力され、SEOに対応したジョブディスクリプションが数秒で生成される。企業は生成された文章を編集したり、テンプレートとして保存したりすることができる。(3月21日 PRNewswire)
https://www.prnewswire.com/news-releases/hireology-announces-new-ai-assistant-becoming-the-first-ats-to-harness-the-power-of-chatgpt-301776636.html

Beamery、生成AI「TalentGPT」を自社開発

英国発のタレントライフサイクル管理プラットフォームのBeameryは、生成AI「TalentGPT」を自社開発し、自社の製品に導入した。TalentGPTは、3年かけて開発したBeamery独自のAI技術とOpenAIの「GPT-4」など他社の生成AI技術を活用し、ジョブディスクリプションや候補者層に合わせたメールの文例を作成する。また、特定のスキルを持つ候補者の職種名、候補者が多く住む地域、給与相場、同様のスキルを持つ社内の従業員を表示する。従業員に対しては、キャリアパスの提案や昇進に必要なスキルの提示も行う。BeameryのAIは、バイアス(偏り)の有無を調べる独立機関の監査を通過している。(3月27日 Beamery)
https://beamery.com/resources/news/beamery-announces-talentgpt-the-world-s-first-generative-ai-for-hr

【M&A】
多様な人材の採用を支援するProfessional Diversity Network、RemoteMoreを買収

女性、退役軍人、LGBT、障がい者など多様な人材の採用を支援するProfessional Diversity Networkは、世界各国でリモートで働くソフトウエア開発者の採用マーケットプレイスRemoteMoreの株式20%を追加取得し、保有比率を約66%に引き上げた。RemoteMoreの2022年第1四半期~第3四半期の売上高は約188万ドルで、前年同期の6倍となった。また登録企業数は650社から1500社に、登録審査を通過した開発者は6300人から2万4000人に増加した。(3月27日 GlobeNewswire)
https://www.globenewswire.com/news-release/2023/03/27/2634818/25762/en/Professional-Diversity-Network-Acquires-Additional-Equity-Interest-in-RemoteMore-USA-Inc.html

【資金調達】

FOUNT、Lavrock Ventures などから800万ドルを資金調達。資金は、新機能の開発や技術基盤の強化に充てる。FOUNTは、従業員の不満や職場での摩擦の原因を特定する従業員体験(EX)プラットフォームで、adidas、Siemens、Baloise、Northwell Health、TEKsystemsなどが利用している。職場環境や人間関係への不満を原因とする従業員の離職やバーンアウト、生産性の低下によって企業が被る損失は、フォーチュン500企業1社あたり年間7億6400万ドルに達するという。

https://fount-ex.com/insights/news-fount-global-inc-secures-8m-to-remove-friction-from-work/

MentorcliQ、PSGから8000万ドル超を資金調達。資金は、製品やサービスの開発や顧客開拓の強化に充てる。MentorcliQは、メンターとメンティーを自動マッチングする法人向けメンタリングアプリで、導入する企業では、メンター制度に参加する従業員の定着率が最大で90%向上している。また参加している従業員が昇進する可能性は2倍高い。顧客はBacardi、Fresenius Medical Care、Cardinal Health、米FDA(食品医薬品局)など。
https://www.businesswire.com/news/home/20230309005076/en/Leading-Employee-Mentorship-Software-MentorcliQ-Secures-Over-80-Million-Growth-Investment-from-PSG-to-Help-Enterprises-Globally-Build-More-Inclusive-Cultures-and-Reduce-Employee-Turnover

TEXT=杉田真樹

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