Works 100

人材育成「退国」から「大国」へ

2010年06月発行

特集

はじめに:100号という、いわば「元旦」に。

●SECTION1―日本は人が育つ国だったのか。なぜ、人が育たない国になったのか
・思想は? 仕組みは? 歴史から日本の人材育成の特徴を振り返る
・COLUMN:パナソニックにみる育成の信念の仕組み化/中西雅子氏(パナソニック 社史室 参事 学芸員)
・人材育成の「強み」は何だったのか。なぜ今、機能していないかを探る
視点1 師弟関係から探る:師と弟子たる縦の軸が自立と覚悟を促した。戦後その軸は失われ、横並び平等主義へ
/山折哲雄氏(国際日本文化研究センター 名誉教授)
視点2 組織のあり方から探る:村落共同体的な「よってたかって」人を育てるあり方が、日本の人材育成の強み
/野田 稔氏(明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科 教授)
視点3 現場の人事の視点から探る:バブル期と現在の人材育成を比較。「村的」育成から「仕組み化」に注力した20年
/中原 淳氏(東京大学大学総合教育研究センター 准教授)

・過去から継承すべきもの 新しく作り出すべきもの

●SECTION2―対論 成長期モデルにはもう頼れない。成熟期の人材育成モデルを模索する
・日本が持続的に成長するための人材育成とは:国を挙げて人を育てる。人材育成のガバナンスが今こそ必要なとき
/仙谷由人氏(国家戦略担当大臣)
・イノベーションを担う人材をどう育てるか:身振り手振りといった身体性、「我・汝」といった全人的関係、どちらも備えた「従弟制」の再構築を
/野中郁次郎氏(一橋大学 名誉教授)
・現場における学びとキャリア発達をどう促すか:経験の内省によってネガティブをポジティブに裏返す。今、レジリエンスこそ重要なテーマ
/金井壽宏氏(神戸大学大学院経営学研究科長 経営学部長 教授)
・人材育成において人事が果たす役割とは:人材育成は「アート」から「サイエンス」へ。人材情報を濃密に集めることが第一歩
/守島基博氏(一橋大学大学院商学研究科 教授)
・企業を再生に導く人材育成とは:人を育てるのはあくまで現場。現場での試行錯誤が人を鍛えヒットを生む体質へと転換
/松沢幸一氏(キリンビール 代表取締役社長)
・「人が育つ仕掛け」とは何か:大切なことは、新規事業に挑戦しようという風土づくり。事業と人材が両輪で育つ
/藤田 晋氏(サイバーエージェント 代表取締役社長CEO)

「育つ」環境と「育てる」仕組み。「育つ」準備と「育てる」準備
/大久保幸夫(ワークス研究所 所長)

●SECTION3―ネットワーク型、戦略としての活用……次世代型人材育成の萌芽をレポート
REPORT1 次世代リーダーの育成はネットワークで取り組む
・アメリカ・産学連携:ビジネススクールが、企業にカスタマイズしたプログラム開発にのりだす
・日本・産学連携:次世代リーダーの育成プログロムを企業と大学の知見を融合して開発する
・日本・地域ネットワーク:後継者の育成が地域経済の発展へとつながる。銀行を中心に、ともに学び、ともに育つ
REPORT2 人材育成を戦略と位置付け、日本企業の「武器」とする
・CSR:シナリオさえ描ければ、人材育成はCSR戦略となる。顧客を育て、自社の発展へとつなぐ
・グローバル展開:ファンづくり、ブランド構築など大きな付加価値。現地の人材を育成し、市場を変える
・商品化:自社の強みを具現化したプログラム。人材育成の工夫を他社にも提供する

●INTERVIEW 人を育てるということ
・日本は「知力立国」を国家戦略として たくさんのプロフェッショナルを育てるべきだ
/田口佳史氏(東洋思想研究者)
・人間とは何かを知るために、私はロボットを研究し続ける
/石黒 浩氏(大阪大学 教授)
・1割の勝利の確率に賭け、リスクと責任を取れる人材を育てる。それが世界で勝つことにつながる
/中竹竜二氏(日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター)
・「型」を作って「易行」にする 「型」を学んで「守・破・離」を究める
/熊倉功夫氏(静岡文化芸術大学学長、林原美術館館長)
・自分の人生を自分でコントロールできる力を育てる
/木山啓子氏(認定NPO法人・特定非営利活動法人ジェン 事務局長)

まとめ:「個人の学び責任」「企業の育成責任」。このパラドクスを突破する
/小山智通(本誌編集長)

FROM EDITORIAL OFFICE
INFORMATION

※本誌に掲載されているデータは平成22年5月24日現在のものです。