(3)ピープル・アナリティクス1.5:グローバルタレントマネジメントへの最適化

2016年03月01日

時代背景:IT化・グローバル化が急速に進展

2000年代半ば以降、日本では第三次オイルショック(04~08)、リーマンショック(08~)、欧州債務(ユーロ)危機、東日本大震災など、政治や金融におけるイベントや災害が続きました。一方で、世界経済は膨張し続け、BRICsというワードが出現しはじめるなど、新興国における経済発展が加速しました。
また、ITを活用した技術革新が生まれるようになったことで、商品のライフサイクルやビジネスドメインが大きく変化し、世界のトッププレイヤーが大きく様変わりしました。

日本企業では、意思決定のスピードアップを更に進めていくために、組織を「フラット化」してトップマネジメントと現場の距離を縮め、事業ごとの独立性、意思決定のスピードを高めるために「分社化」などの対応が行われるようになりました。また、事業のスピードアップにあわせて、人・組織に関する権限も人事から事業サイドにシフトし、人事(HR)ビジネスパートナーと呼ばれる事業のパートナーの仕組みを導入する企業が出始めました。また、グローバル化が更に一般化し、タレントマネジメントもグローバル統一で進めていくためにグレードを統一するなど、仕組みの整備に力点が置かれました。イノベーションを生み出せる個人を重視するようになり、よりパフォーマンスの発揮できる人材をグローバルで獲得しようという風潮が高まり、ダイバーシティマネジメントの概念が浸透し、外国籍社員の採用や、女性の積極登用に取り組む企業も増加しました。

パフォーマンス管理:「人事が過去データを分析する」から「事業も現在データを分析できる」時代へ

ビジネスのスピードが早まり、プロジェクトベースでの仕事が増加したこと、ならびに、クラウド型ERPシステムが導入されるようになったことから、それまで人事部しか行えなかったデータ分析を、事業部門でも実施できる環境が整いました。

また、テクノロジーの進化によってモバイル端末(スマートフォン・タブレット)の高機能化が実現したことでPCからモバイルへとビジネスデバイスがシフトし、これに伴い、リアルタイムでのパフォーマンスデータの取得・活用が行われるようになっていきました。

キャリア管理:グローバル管理へのシフトとデータ活用したジョブマッチングの萌芽

グローバルにタレントマネジメントを行う考え方が普及し、グローバル共通のグレードでの評価が行われ、クラウド型ERPにデータが蓄積され、その結果を活用し、グローバルで最適な次世代リーダー選抜を企図した育成プログラムが導入されるようになりました。また、クラウドで管理できるようになったため、それまでは人事部門が一括して定期的にメンテナンス・管理していた個人のキャリアやジョブの情報が、ERP上でタイムリーに管理できるようになり、システムによるマッチングの支援も行われるようになってきました。