用語解説【建設編】

2023年03月24日

i-Constrution

i-Construtionは、国土交通省が2016年から進めている「生産性革命プロジェクト」の1つで、調査・測量から設計・施工・検査・維持管理までのあらゆるプロセスにおいて、ICTなどを活用して建設現場の生産性向上や労働環境の改善を図る取り組みのこと。

i-Construtionには、「ICT技術の全面的な活用」「規格の標準化」「施工時期の平準化」という3つの柱がある。技術の活用については産学官の連携によりIoTや人工知能、ロボティクスなど革新的技術の現場導入や3次元データの活用などを進める。規格の標準化については例えばコンクリート工法の標準化、鉄筋のプレハブ化、各部材のサイズの標準化などがあげられる。施工時期の平準化については年度末に工期が集中するなど施工時期の偏りが激しい現状に対して、早期発注などを促して発注者の計画性向上、労働者の収入や休暇の安定につなげることを目指す。

レーザー測量

レーザー測量は、レーザー測距装置(LiDAR)をドローンや航空機に搭載し、地上に向けて放射状にパルスレーザーを照射することにより、広範囲で高密度・高精度な地表の座標、高さを取得する測量方法のこと。測距センサは、大きく分けて光学(LiDAR)、電波(ミリ波、Radar)、超音波の3つがあり、それぞれの特性によって活用できるアプリケーションが変わる。例えば、LiDARであれば高解像度のデータを取得できるため人や物などを見分けやすい。Radarは測定距離をとりやすく、遠い物体の検知が可能である。また、超音波では、導入コストをおさえ、安価に開発を進めることができる。

レーザー測量は、危険な場所や広大な土地など測量が難しいケースに使われることが多い。数年前までは航空レーザーを用いての測量が主流だったが、現在はドローンを活用することが多くなっている。

ドローンによる3次元測量

ドローンによる3次元測量では、ドローンに搭載したスキャナから地表に向けてレーザーを射出、それが地形や構造物に当たり、反射して戻ってくる時間を計ることで距離を測定する。さらに、ドローンの傾きや位置情報を計算に加味することにより地形データを得ることができる。ドローンにおけるレーザー測量では、カメラがついているタイプを使えば、測量を行いながら、地表の様子を撮影することも可能である。

ドローンによるレーザー測量では、スキャナの性能にもよるがコイン大のサイズの誤差内の計測が可能で、複雑な地形も正確に測量することができる。用途としては建設現場などでの測量はもちろん、山林の地形を把握することで森林計画に役立てるといった活用法がある。

ICT(ロボット)建機

ICT(Information and Communication Technology)すなわち情報通信技術を施工の段階で活用することで作業効率や品質の向上を目指すのがICT建機である。その特徴の1つはマシンガイダンスとマシンコントロールという操縦システムであること。マシンガイダンスは衛星データなどを利用して建機の位置を特定し、施工対象の設計データや測量データとの差分を、建機の操縦席のモニターに提供して映し出させ、操作をサポートする機能のことで、ブルドーザー、バックホウなどに搭載されている。また、マシンコントロールはマシンガイダンスに油圧制御のシステムを加えたものである。この技術では施工箇所の3次元設計データを利用し、機械をリアルタイムで自動制御しながら施工を行うことができる。ブルドーザー、モーターグレーダー(走行しながら地面の凹凸をならしていく建設機械)などに搭載されている。こうした技術の導入により、土木現場の施工の効率化や作業品質の向上といった効果が見込まれている。

BIM/CIM

BIM(Building Information Modeling)は、建築物をコンピューター上の3D空間で構築し、企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元化して活用する手法のことを指す。従来の3D CADの場合、まず2次元の図面で設計したのちに3Dで作成するという流れだったが、BIMは最初から3D空間で設計を行う。BIMの3Dモデルには図面の情報だけでなく、建具などの品番やメーカー、価格といった情報もすべて含まれており、設計変更を加えるとすべての情報が連動して修正される仕組みになっている。導入のメリットとしては設計変更などの作業の手間が減る、施主へのプレゼンテーションが容易、設計初期から各種シミュレーションを行うことができるといったことがあげられる。

CIM(Construction Information Modeling/Management)は、2012年に国土交通省の「情報化施工推進会議」においてBIMを参考としながら、それを土木分野においても活用すべく提唱された。BIMと同様、3次元化したモデルを計画や調査、設計段階から関係者に共有しながら随時情報を追加できる。また、施工や維持管理の段階でも3次元モデルを利活用できるため、結果的に業務効率化が期待できる。全工程で情報共有が図れることから設計ミスや不整合があった際の手戻り作業などを大幅に減少することが可能であり、工期短縮や施工現場の安全性向上など、様々な導入効果が期待されている。

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