ジョブサーチオーガナイザー
求人情報や応募手続きを一括管理
求職者が就職や転職活動を始める際に、多くの情報源から応募した企業情報や求人情報を集め、応募の手続きをするといったプロセスや求職活動の管理が必要となる。ジョブサーチオーガナイザーは、このような求職活動を効率的に進めるためのサービスである。
ジョブサーチオーガナイザーは、応募したい求人情報のリストアップや、応募後の進捗状況のトラッキングをし、求職者に必要なフォローを促す。また、クリッピングした求人情報を地域や分野別に整理したり、企業ごとにカバーレターやレジュメをパターン化して一括管理する。さらに、まだ応募していない求人の応募を促すなど、求職活動に関わる一連の行動を管理する。
人事との関連性
ジョブサーチオーガナイザーの利用者は求職者であるが、サービスを提供する事業者は、利用者すなわち積極的求職者(※1)のデータベースを保有している。そのため、サービス業者の中には企業・リクルーターに対して、求職登録情報の検索サービスを提供するところもある。人事は候補者探しのソースとしてサービスを活用できるだろう。
サービス例
- JobHero:求人情報の取得から応募までのプロセスを一括管理
PCとモバイルの両方から取得した多数の求人情報を一括で見やすく整理する。さらに、求職者がサイトに登録すると、レジュメの作成、応募、面接のスケジューリングなど、応募プロセスに沿った行動の一括管理ができる。 - queby:LinkedInなどにひもづけて情報収集
サイトに登録すると、LinkedInや他のサイトに特定マーク「Que+」が表示される。マークをクリックすれば、サイト内にある必要な情報をマイページに保存できる。仕事の詳細や企業情報も一括管理できる。
ビジネスモデル(課金形態)
下記のビジネスモデルが推察される。
- 求職者がサービス料をサービス事業者に支払う(個人課金)
無料の基本サービスと有料のオプションサービスがある。 - 企業・リクルーターが求職者のデータベースの閲覧やアクセスする料金をサービス事業者に支払う
- 人材サービス会社がサービス事業者からシステムを購入し、求職者に無料提供する
企業や団体、ジョブボードや人材紹介会社などの 人材サービス会社が、サービス事業者からソフトウエアなどのシステムを購入し、サービスを求職者に無料提供する。
今後の展望
ジョブサーチオーガナイザーは、求職活動を管理する基本サービスを提供しており、サービスの成熟度は高い。しかし、いまだに大手のベンダーが存在しておらず、新規参入者への扉が常に開かれている。
そもそも、求職者にとって求職活動の管理は面倒で、このサービスへのニーズは極めて高く事業者にはプラスだが、同時に2つのリスクもある。1つ目は、求職者は採用が決まったら要らなくなる、短期ニーズであるということ。ビジネスを維持するには、常に新規ユーザーを誘引し、同時に利用者のリピート率を高める必要がある。2つ目は、仕事探しのメカニズムの変化である。ジョブサーチオーガナイザーのサービスも、変化に応じてアップデートしなければならない。いずれにせよ、ニッチの枠を超えることはないが、大規模な市場に成長する可能性もある。
※1 積極的求職者(active job candidate)就業中・失業中を問わず、現在求職活動を積極的に行っている求職者。対義語は消極的求職者(passive job candidate)。(出所:LinkedIn公式HP)
グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)
HRテクノロジーマップ
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