リクルートワークス研究所の運営で大事にしていること

奥本英宏

2024年08月19日

リクルートワークス研究所presents「研究員の『ひと休み ひと休み』Season2」は、研究員の「生の声」をお届けするPodcast番組です。
第1回は、所長の奥本英宏に話を聞きました。本コラムでは、収録音源から抜粋した内容をご紹介します。
※podcast番組はぜひこちらからお聴きになってください。

リクルートマネジメントソリューションズから研究所へ

――奥本さんは、2011年より8年間、リクルートマネジメントソリューションズ(以下RMS)の代表取締役社長を務められましたが、その時の気持ちや、社長経験から得たものについて教えてください。

奥本:RMSには「個をあるがままに生かす」っていうブランドスローガンに惹かれて入社をしました。

リクルート創業期のボードメンバーだった大沢(武志)さんという方がいらっしゃるんですが、この大沢さんはリクルートのマネジメントとカルチャーを作ったと言われている方で、「個の尊重」を通じて個人の主体的な取り組みや可能性を引き出していくことをとても大切にされていました。

その大沢さんが作った会社がRMSで、リクルートのDNAを色濃く残す会社だったので、そうした社内の取り組みをより多くの企業のいろんな企業課題につなげて、より多くの個人が自分らしく生き生きと働くことができるような会社とか社会を広げていこう、そんなことを思って社長業に取り組んでいましたね。

顧客への提供価値を改革していこうとか、いろいろなチャレンジをしてきたんですけれども、ボードメンバーをはじめ多くのメンバーが協力してくれて、とてもいい取り組みができたのが非常に印象深い社長経験でした。


――2018年よりリクルートワークス研究所に参画され、2020年に所長になられましたが、RMSの社長からワークス研究所の所長になるにあたって、考え方や行動に変化はありましたか。

奥本:もともとお客様や、社会への提供価値にこだわるタイプではあったのですが、それがワークス研究所に来てより強くなったと感じます。

ワークス研究所は企業からの受託研究をしないですし、リクルートの事業からの受託調査や研究なども受けていません。自分たちが純粋に今の社会で必要な研究は何かを考えて取り組んでいくという特色があります。

なので、そのためにも公平公正なアウトプットというものを何よりも重視しますし、研究成果はすべて公開しています。社会性のようなものがワークス研究所は非常に高いなというのを来てから改めて感じまして、その点をより強く意識するようになったっていうのはありますね。

人事が変われば社会が変わる

それから、ワークス研究所では大学、企業、政府関係など様々な方々と連携しながら仕事をしていきますので、オープンな広がりが出たことも、随分変わったところと思っています。行政関係者や企業人事、アカデミックの皆様など、多様なつながりが広がったなと。

機関誌『Works』の表紙研究所が発行している機関誌『Works』があるんですけれども、その表紙のショルダーに「人事が変われば、社会が変わる。」って書いてあるんですね。

今、政府の政策をはじめとして、各企業においても、本当に人が重要な資源になってきていて、難しい問題、悩ましいことやなかなか解決策が提示できないようなことなんかもすごくたくさんあります。そういった中で働く個人や企業、社会がより良くなるためにどうしたらいいか、そういったことについて非常に幅広く活動している、ワークス研究所はそういう研究機関だと思いますね。

リアルな現場の課題に貢献できる研究所に


――ワークス研究所を運営していく上で、どういったことを大切にしていますか。

奥本:僕はもともとRMSに入社を決めたときも「個をあるがままに生かす」というブランドスローガンに惹かれたという話をしましたけど、その思想をワークスでも実践できたらなと思っています。なので、研究員や、サポートするアシスタントやスタッフのみんなが、のびのびと研究に取り組める環境を作ることが第一だと考えています。メンバー主体の組織運営や、個々人の顔が見えるような社会への発信、そういったことに取り組んでいますね。

それから、常に社会に貢献していこうという目線を忘れないこともすごく大事にしていて、ワークスは研究機関ではあるんですけれども、研究した成果をちゃんとデリバリーしていく活動に取り組んでいます。コンテンツプロデュースサイクル、CPCって呼んでますけれども(※)、単なる研究の域を超えて社会実践みたいなものにどうつなげていくか、そこに研究員がどう貢献していけるかもすごく大事にしています。

ワークス研究所では実践的であれということを大切にしています。キャリアに悩んでいる個人、良い経営をしたいけどできない経営者、そうした人たちの目線に立った研究発信をしていきたいですね。

――ありがとうございました。

※CPC=コンテンツ・プロデュース・サイクル。リクルートワークス研究所が研究成果を生み出す上で指針としている考え方。研究成果を基にステークホルダーとの対話を重ね、それらをテーマ把握・仮説形成・コンテンツ制作に活かし、さらに研究を深めていくサイクルのこと。

■奥本さんのお勧めコンテンツ
・研究所員の鳥瞰虫瞰 Vol.4
・機関誌Works

■リクルートワークス研究所presents  研究員の「ひと休み ひと休み」
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奥本 英宏

1992年株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(旧社名:人事測定研究所)入社。2011年10月株式会社リクルート ソリューションカンパニー カンパニー長、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ代表取締役社長に就任。企業の人事制度、人材評価、人材開発、組織開発全般のソリューションに従事。2018年4月リクルートワークス研究所に参画。2020年株式会社リクルート専門役員、リクルートワークス研究所所長。