新しい時代のマネジメントへ4つの提言

2019年11月19日

人事データを用いた分析から、マネジャーの行動と労働時間や業績との関係性について分析を行ってきた。さらに、本プロジェクトでは、多くのマネジャーやその上司にあたる部長からヒアリングすることで、短い労働時間でいかにして成果を上げるのかを探ってきた。最後に、新しい時代のマネジメントがどうあるべきか4つの提言を行って締めくくりたい。

1.部下への指導にこそ、ふんだんに時間を使え

今回の人事データによる分析と関係者へのヒアリングからみえてきたのは、マネジャーは部下の指導にこそ時間を使うべきであるということだ。このことが、本報告書における最も中心的な提言である。
マネジャーが行うべき仕事は山ほどある。管理者としての事務的な仕事や、社内の会議、部下の指導のほか、プレイヤーとしての業務もある。しかし、最低限こなすべき業務と、最大限力を入れるべき業務の間に、厳然とした優先順位が存在するはずだ。そして、その第1位にくるのが、部下への個別の指導であり、仕事の方法論の伝授にほかならないのである。部下に仕事ができるようになってもらうことが、マネジャーの役割の中核なのだ。

2.思い切ってメンバーに任せる

中核的な業務に時間を割くためには、ほかの仕事の優先順位を下げ、それに対応する時間をできる限り圧縮する必要がある。そこで必要になるのは、仕事を他者に任せることだ。メンバーやメンバーを束ねるリーダー的な役割を担う者に自身の仕事を思い切って任せる。それによって、各メンバーの成長を促すとともに、自分自身が行う部下への個別指導の時間を捻出したいものだ。

3.本来業務に集中できる環境整備を怠るな

マネジメント業務にマネジャーが集中できる環境を創出することは、人事の役割でもある。必要性の少ない事務作業を最小化する、またそういった業務を外に出すといった工夫については、不断に考えていかねばならない。労働時間の管理など行うべきことは増えている。マネジャー本来の役割に集中してもらうため、会社として何ができるかは、改めて考える必要があろう。

4.顧客への過剰なサービスはやめよう

ヒアリングするなかで、顧客対応に課題があるという意見も多く聞かれた。トラブルが生じた際に、上司であるマネジャーが対応しなければ面目が立たないという事例や、大きな商談では上のレベルでの対応が必要になるという事例など、立場があるが故に、取り組まなければいけない業務もかなりあった。商習慣の改革は一企業では難しいものの、過剰な顧客サービスを減らしていくという取り組みは、各業界で行わなければならない。


以上、働き方改革時代のマネジメントがどうあるべきか、4つの提言を行った。この提言の中核にある概念は、マネジャーの本来業務は部下の個別指導であるということだ。そのような認識のもとで、各企業において、マネジメントのさらなる改善が行われることに期待したい。

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