本気の健康経営

サトーホールディングス/目標と手当による健康増進

「全員参画」の風土づくりで自律的な健康活動を促進

2017年06月10日

毎月の手当は、各人の健康課題に応じてジムの会費、シューズなどのグッズ代、禁煙外来費用などに充てられる。同社基準による運動習慣者比率は、2015年の50.2%から2016年は63.8%に上昇した。

社内イントラネット内の「みんなの健康広場」ページには、登山、フットサルなど、拠点・部門ごとのイベント報告が並ぶ。2016年の掲載件数は63件。前年の5倍に増えた。

桜の季節。オフィスに程近い川沿いをジョギングする女性たち。彼女たちが定期的に運動するようになったきっかけは、会社の健康経営施策である。
サトーホールディングスでは、2015年から全社員を対象に、健康増進への意識づけを目的とした「わたしの健康目標」という施策を導入した。期初の目標提出を条件に、毎月2000円の「健康アクション手当」を支給。目標の内容は、「週2回、ジョギングを1時間」というような具体性・実現性を重視して事務局が精査し、あいまいな目標は再提出を求める。施策のスタート以降、提出率は100%だ。1年後、社員は達成度を自己評価し、翌年の目標設定に活かす。
同社の健康経営の本質は、金銭的なインセンティブではなく、「空気のような健康経営」を目指し、継続的な動機づけによって自律的な健康活動を促していることだ。常に社員から健康施策への提案があるほか、拠点・部門ごとの自発的な取り組みも増えている。その根底には、経営理念にも通じる「全員参画」と「信頼」の企業風土がある。健康経営の推進には、「風土づくり」も重要なのである。

Text=池内由里Photo=峯本宗介