非正規雇用者の正規転換(2020年4月版)
総務省「労働力調査」によると、2018年において非正規雇用者数は2165万人(前年比+45万人)と前年から増加し、非正規雇用者比率も38.3%と同+0.4%ptの上昇となった(図1)。非正規雇用者数は増加傾向が続き、頭打ちが続いていた非正規雇用者比率も再び増加に転じている。
リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」から非正規雇用者が正規雇用者に転換する割合(正規転換比率)を算出すると、2018年にはその比率は6.7%となった(図2)。
前年に非正規雇用だった人で今年正規雇用に転換している人の数(112万人)は、前年に正規雇用だった人で今年非正規雇用になった人の数(93万人)を上回っている(図3)。また、それと同時に、前年に非雇用者であった人の相当数(461万人)が非正規雇用者として労働市場に参入している様子も見て取れる。つまり、正規転換は着実に進んでいるにもかかわらず、それを上回る数の人が非正規雇用者として労働市場に参入しているため、結果的に非正規雇用者の数や比率が増加しているのである。
非正規雇用という雇用形態は、時間の融通が利き、仕事と家庭の両立しやすいなどの特徴を有し、必ずしもすべての非正規雇用者が正規転換すべきというわけではない。しかしながら、正規雇用を望む多くの人が正規雇用に転換し、またその雇用を維持できるような環境を整備することは重要である。企業は、能力と意欲のある人を正規社員に登用する動きを、さらに進めるべきだ。
図1 非正規雇用者の人数とその比率
図2 非正規雇用者の正規転換比率
図3 前年非正規雇用者だった人と今年非正規雇用者であった人の雇用形態の変化
文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
※2019年3月時点の本記事はこちら
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