柔軟な働き方(2020年5月版)
リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、勤務日・勤務時間・働く場所を自由に選べている人の割合を算出すると、当該割合はそれぞれ37.1%、29.7%、19.0%と2018年は前年から上昇した(図1)。2017年と比べ、勤務日・勤務時間については割合が上昇していることは評価できるものの、働く場所については割合は低下した。また柔軟な働き方を実現できている人の割合は依然として低水準にとどまっており、柔軟な働き方の実現に向けて課題は多く残る。
日本は家事・育児の負担が女性に偏っており、柔軟な働き方は、女性が労働と家事・育児を両立させるためには必須となる。働き方の柔軟性を男女別にみると、勤務日については、女性の方が高い傾向がみられる(図2)。男性については、勤務日の柔軟性が19.4%と、女性と比較して2.5%pt低い。男性の家事・育児参加も望まれるため、男性労働者が柔軟に働ける環境を作ることが必要となる。
次に、働き方の柔軟性を業種別にみてみよう(図3)。公務は、全ての項目が他業種と比較して低い。公務は業務の内容が法令などによる規則で定められることが多く、柔軟な働き方が難しい職場環境が形成されている可能性がある。一方で飲食店、宿泊業や医療・福祉はシフト制などのためか、勤務日の自由度がそれぞれ32.3%、32.2%と、他業種と比較して高い。
労働者1人当たりの生産性を上げるために、また女性や高齢者の労働力を活用するためには、柔軟な働き方の実現が求められる。ICTの発達により、従来のように決められた時間に決められた場所で働くという制約は緩くなっている。将来的には従事している産業などに関係なく、柔軟な働き方が実現されるよう、テレワークや自由な有給休暇の取得を推進していきたい。
図1 柔軟な働き方ができている人の割合(経年比較)
図2 男女別の柔軟な働き方ができている人の割合(正規雇用者、2018年)
図3 業種別の柔軟な働き方ができている人の割合(正規雇用者、2018年)
文責:茂木洋之(研究員・アナリスト)
※2019年3月時点の本記事はこちら
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