フツウでないと戦力外?

外国籍の従業員

察するから脱して、聞いてみることからスタート

2016年08月10日

What's this number? 49.9%

冒頭の数字は、日本で働くことは「魅力的でない」とする外国籍者の比率だ。日本に"住むこと"については「魅力的」が82.7%、「魅力的でない」はわずか5.5%。その落差に驚かされる。
日本国内での外国籍人材の活用を進める企業は増えているが、「せっかく採用しても定着しない」事例は後を絶たず、また一見成功している企業でも、「我が社流に染まってもらっている」というところも少なくない。
「外国籍者に限らず、入社した一人ひとりに、それぞれ固有の価値を発揮することで貢献してもらう、というのが本来目指すべきところ」と指摘するのはグローバル人材戦略研究所所長の小平達也氏だ。せっかく入社した外国籍者が、日本人新卒社員と同じように日本的行動様式と価値観で会社に順応してくれただけでは、多様性を活かしたことにはならない。

ダイバーシティ・マネジメントとは、「国籍などが異なるメンバーと共通のゴールを達成するために、それぞれが役割を果たすよう働きかけること」と小平氏は定義する。これは外国籍の人だけでなく、日本人のメンバーに対しても必要な行動だ。

何のために働くのか、ということ一つとっても、高い同質性に慣れた日本人は「そこは皆同じ」と思ってしまいがちだし、「○○人の価値観ってどうなの?」と国籍レベルで括りたくなる。「100人いたら100通りの価値観、と肝に銘ずべきです。目の前の人が、どういうメッセージを発しているのかをキャッチしなくては。そのためには、察しようとするよりも"とにかく聞いてみる"ことです」
業務面では、外国籍の人々の不満のトップは、「キャリアが見えない、自分の役割が不明確、フィードバックがない、の3点」。最大の対策は、「現場の上司が向き合って成長を支援すること。10年先は見せられずとも、2、3年先を見越したストレッチアサインをし、伴走してあげることで、3つとも解消していけるのです」
では、人事は何をすべきか。
「人事には、本人の退職に至るまで現場の状況が見えないことが多い。ダイバーシティを可能にする風土を作るのは現場の役割ですが、人事には採用・配属後の、継続的な現場モニタリングが求められます」。現場と人事が互いに状況を伝え合うことで、すべての個人の働きやすさと働き甲斐を高めること。目指すのはこの連携である。

※データは一般社団法人日本国際化推進協会「日本で働くことについての調査」(2015年11月)による。総回答者数819人。

Text=Works編集部Photo=アマナイメージズ