クールじゃないジャパン

どうして、従業員の年齢にこだわりすぎるのか?

2017年12月10日

日本企業では、昇進・昇格、人事異動や中途採用などの場面で、「あの人は何歳?」という言葉をしばしば耳にする。グローバル人事コンサルティング会社を経営するブライアン・シャーマン氏はこの言葉を聞くたび、どれだけ日本企業は年齢を気にするのだろう、と感じるという。
「年齢を重ねるほど経験が豊富だろう、若いほど柔軟性が高いだろうなどと考え、年齢をたずねてしまう気持ちはわかります。しかし、年齢を気にしすぎて、本当に優れた人材を活用できないケースは珍しくありません。もったいないですよね」
もちろん、多くの日本企業では、年齢を中途採用の面接でたずねるのはタブーだと認識している。また、人事管理において年齢を基準にすることはよくないとも考えている。
「しかし実際には、年齢によるステレオタイプが頭にあり、それに基づいて特定の『人材タイプ』を求め活用したいという無意識のバイアスが働いているのではないでしょうか」背景にあるのは日本独特の「平等意識」ではないかとシャーマン氏。
「日本企業は、全従業員をできる限り同じように扱おうとします。一方、米国における平等主義とは、各自の特性を見極め、それに見合った扱いをすることです。日本企業も、個人の能力や意欲をもっと重視した処遇を行うべきでしょう」では、年齢に対するバイアスを取り除くために、日本企業は具体的に何をすべきか。シャーマン氏が勧めるのが、「志」の確認である。
「『あなたは何をしたいですか?』と常に問うことが重要です。年齢に左右されない志の大きさを問うことで、年齢に対する無意識のバイアスから解放され、適材適所を実現することができるのです」
米国企業のなかにも、年齢に限らず、人種や性別などに対する「無意識のバイアス」が存在することを認め、それを取り除くために繰り返し研修を行うところが少なくない。意識変革が容易でないとわかっているからこそ、徹底した取り組みを行っているのだ。日本企業でも同様の流れが進めば、真の適材適所を実現できるかもしれない。

Text=白谷輝英Photo=平山輪

ブライアン・シャーマン氏

Bryan Sherman 米国出身。在米日系企業の人事総務部長などを経て、2007年にファーストリテイリングに入社し、グローバル人事戦略業務、世界各国の拠点の人事マネジメント業務を手がける。2010年に独立し、グラマシー エンゲージメント グループを設立した。