女性の賃金(2020年11月版)
一般労働者(短時間労働者を除く常用労働者)として働く女性の賃金水準は、近年増加傾向にある(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。男性の賃金水準に対する女性の賃金水準の割合を表した男女間賃金格差(男性=100)をみると、2019年は74.3%であり、先進諸外国の80~90%と比較すると日本における男女間賃金格差は依然として大きい(図1)。
男女間賃金格差が生じる主な原因として、年齢、学歴、労働時間など属性の差異が挙げられる。そこで、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて属性を揃えた場合、どれだけ男女間賃金格差が生じるのかをみてみた(図2)。20代から40代まで、大学卒である、正社員として同一企業に勤務し続けている(退職経験なし)、週35時間以上働いている、勤続年数が5年未満、の順に属性を揃えてみると、徐々に男女間賃金格差が縮まることがわかる。それでも、1割以上の格差が生じている。配置や育成方法などにおいて男女間で偏りが生じている可能性も指摘できるが、女性は結婚や出産を考え、仕事と家庭生活の両立がしやすい働き方を選んでいる可能性も考えられる。
男女間賃金格差を解消するためには、配置や育成方法などにおける男女間の偏りをなくすことだけでなく、女性がライフイベントによって働き方を調整しなくても済むような取り組みも重要であるだろう。例えば、テレワークの推奨など働き方の柔軟性を高めることが挙げられる。今後の企業の積極的な取り組みに期待したい。
図1 男女別の賃金水準と男女間賃金格差の推移
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
注:一般労働者(短時間労働者を除く常用労働者)の状況である。
図2 属性を揃えたときの男女間賃金格差
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2020」
注:年齢、学歴、就業状況、週労働時間、勤続年数の順に属性を揃えている。Xa20を用いたウエイト集計を行っている。
文責:孫亜文(研究員・アナリスト)
編集:リクルートワークス研究所
※2019年7月時点の本記事はこちら「定点観測 日本の働き方」一覧へ戻る