シニアの就業(2019年4月版)

2019年04月12日

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総務省「労働力調査」をみると、2018年の60~64歳の就業率は68.8%となり、7年連続で上昇し(図1)、2000年以降で最高水準となった。改正高年齢者雇用安定法※が施行された2006年以降、リーマンショックで就業率が低下した一時期を除き、上昇傾向にある。65~69歳の就業率も同様に7年連続で上昇し、46.6%と高水準となっている。高齢者の就業率は順調に上昇しており、政府目標※を上回っている。

男女別に高齢者の就業率の推移をみてみると、性別を問わず高齢者の就業率が上昇していることがわかる(図2)。特に女性の就業率の向上が著しい。2000年と足元の2018年を比較すると、男性60~64歳、男性65~69歳、女性60~64歳、女性65~69歳の就業率はそれぞれ16.0%pt、8.6%pt、19.0%pt、11.5%pt上昇し、男性よりも女性の就業率の伸びが大きい。高齢者における男女の就労格差も、徐々にだが狭まってきていると評価できる。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を使用して、就業者の労働供給を観察しよう。就業者のみに限定すると、労働日数は2015~2017年の3年間とも1週間当たり約4.6日でほぼ横ばいといえる(図3)。一方で労働時間については2015年から0.5時間増加し、32.6時間となった。働く人が増加したのみならず、すでに就業している人の労働供給量もわずかだが増加していることがわかる。特に2015年、2017年で比較すると、労働時間が36時間以上45時間以下の就業者の増加が目立つ(図4)。以前は高齢者というと短時間のみの労働が多かったが、徐々にフルタイムで働く高齢者も増加している可能性がある。

少子化による労働力の減少や、社会保障費の抑制による財政負担軽減のため、労働意欲ある高齢者に元気で長く働いてもらいたい。政府においては、高齢者が働くインセンティブをもつように年金などの社会保障制度の見直しを進め、企業も賃金システムの再考など現行制度の見直しを行う必要があるだろう。

※年金支給開始年齢の段階的引き上げに伴い、定年の引き上げや再雇用制度の導入など、企業は65歳までの雇用確保を義務付けられた
※政府目標:2020年において60~64歳の就業率を67.0%まで上昇させる

図1 就業率の推移
出典:総務省「労働力調査」

図2 就業率の推移(男女別)
出典:総務省「労働力調査」

図3 労働日数と労働時間の推移(60~69歳)
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2018」
注:x16~x18を用いたウエイト集計を行っている。

図4 労働時間の分布(2015年と2017年、60~69歳)
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016、2018」
注:x16、x18を用いたウエイト集計を行っている。

文責:茂木洋之(研究員・アナリスト)
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