就業(2020年11月版)
総務省「労働力調査」によると、2019年の就業率は、15歳以上で60.6%(前年比+0.6%pt)、15~64歳で77.7%(同+0.9%pt)となり、就業率は着実に上昇している(図1)。就業率に関する政府目標※はすでに達成されている。また、労働力人口は6886万人と前年から+56万人と増加(同+0.8%)、非労働力人口は4197万人と前年から▲66万人と減少(同▲1.5%)しており、労働参加もしっかりと進展している(図2)。
順調に就業化が進んでいる環境下で、就業していない人とはどのような人なのだろうか。リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、非就業である人の理由の内訳をみてみよう。非就業者には、就業希望だが働けなかった人と、そもそも就業を希望しなかった人がおり、そのほとんどは後者である(図3)。
また、就業を希望しなかった人もいくつかに類型化できる。すなわち、①出産・育児・介護・家事など家庭の事情で働けない人(就業非希望者のうち9.9%)、②年齢や健康状態を理由に働けない人(同27.0%)、③適当な仕事や能力がなく働くことをあきらめている人(同8.4%)、④働く必要がない人(同23.6%)、⑤特に理由がないが働かない人(同16.1%)、⑥そのほか(同15.0%)となる。
非就業の状態にある理由は多様であり、そのすべてが政策課題として重要なものである。言い換えれば、就業の促進はこれらの政策課題を一つひとつ解決していかないとできない、最も基礎的な課題であるといえる。そして、就業率がここまで大きく改善しているのは、これらの施策がしっかりと進んでいる証左でもあるのだろう。今後も、高齢者の就業促進などを中心に総合的に施策を推進し、就業率がさらに高まることを期待したい。
※政府目標:2020年において15歳以上の就業率を57%以上
図1 就業率
図2 労働力人口と非労働力人口
図3 非就業者の理由別の内訳①
※2020年3月時点の本記事はこちら
※2019年4月時点の本記事はこちら
文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
編集:リクルートワークス研究所
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