米国のインターンシップの特徴を探る~募集・選考編~
リクルートワークス研究所は、米国のインターンシップ実施状況を把握するため、人材採用コンサルティング会社CareerXroads社の協力を得て、『2015 Internships USA』調査を実施した。前回に引き続き計3回にわたって、この調査から、採用規模、予算配分、募集・選考方法、さらには内定オファー率/受諾率など、米国で現在行われているインターンシップの特徴を探ってみたい。
『2015 Internships USA』調査概要
調査期間:2015年3月26日~4月13日
調査方法:インターネット
調査対象:従業員数5,000人~10万人以上の米国企業
回答社数:41社
採用規模は企業によって様々。だが、1000人を超える大規模採用もある
2014年のインターン生採用人数(実績)では、50人以下が34.2%、51~100人が21.1%で合わせて全体の55.3%を占めている。一方で、2015年予定では、1,000人を超える大規模採用も13.5%あり、採用規模は企業によってかなりばらつきがあるようだ。たとえば、本コラムのケーススタディーとして紹介予定の世界4大会計事務所の一角、アーンスト・アンド・ヤング社は、2015年、米国内だけで4,000人のインターン生の採用を予定しているという(アメリカ大陸採用ディレクターのダン・ブラック氏談)。また、同じく本コラムで紹介予定の世界最大のレンタカーサービス企業、エンタープライズ・ホールディングスも、2015年度、1,700人のインターン生を採用する予定だという(採用部門バイスプレジデントのマリー・アーティム氏談)。
指定校の選定条件上位3つは、「過去の採用実績」「大学提供の専攻分野」「大学の場所」
米国企業は、インターン生採用に際して、特定の学校をターゲットスクール(指定校)と定めていることが多い。その傾向は、STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)と呼ばれる理工数系人材や、文系でも会計学など大学でプロフェッショナル分野の教育を受けた学生を主な採用ターゲットとしている場合は特に顕著である。指定校の選定条件上位3つを選んでもらったところ、「過去の採用実績」「大学提供の専攻分野」「大学の場所」を選択した回答が最も多かった。
大学生・既卒者向けジョブボードや学内新聞などの募集メディアも活用されている
インターン生の募集には、学生や既卒者向けエントリーレベルの募集案件を掲載するネットや紙媒体も活用されている。『2015 Internships USA』調査で、インターン生募集メディアとして効果的という評価が最も多かったIndeedは、インターン生募集サイト、新聞のオンライン版、企業の採用ウェブページなどからインターン生募集情報を収集し、掲載する求人情報専門のメタ検索エンジンである。また、インターンシップ募集情報に特化したInternships.comも比較的高評価だった。
公募から面接までは11~20日、面接からオファーまでは10日以内、承諾・辞退期限も10日以内が多い
インターン生の採用に要する平均日数としては、公募から面接までは11~20日以内という回答が最も多い(39.4%)が、31~40日以内という回答も次に多くなっており(27.3%)、このプロセスにかける時間は、企業によりかなり幅がある。また、面接からオファーまで、オファーから承諾・辞退までの期限は10日以内が最も多く(ともに47.1%)、面接がすめば短期間でオファーが出され、学生がそのオファーを受けるか受けないかを決断する期間も短く設定されている。一方で、「インターン生採用の各々のプロセスにかかる時間は、募集事業部門によって様々なため、一概には言えない」というコメント付きの回答も見られた。
応募手続きの所要時間を短くして応募者の離脱を防ぐ
応募プロセスで応募者が離脱してしまう原因として最も可能性の高いものを尋ねたところ、「応募手続きがユーザーフレンドリーでない」 (53.3%)、「応募フォーム入力にかかる時間」(50.0%)という回答が多かった。この回答結果と呼応するように、応募手続きにかかる平均所要時間は、5~15分が全回答の64.9%で圧倒的に多く、比較的短い。応募者に対する負荷をできるだけ減らして、応募途中での離脱を防止すべく配慮する企業が多いものと思われる。
TEXT=小林誠一