女性活躍(2019年7月版)
課長級以上の管理職に占める女性比率は、2018年に9.9%と前年から0.3%pt上昇している(図1)。課長級(11.2%)も部長級(6.6%)もその水準は前年より上昇しているものの、部長級はその伸び率が緩やかなものにとどまっている。政府目標※の達成にはほど遠い。
リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、企業規模別に課長級以上の管理職に占める女性比率(正社員限定)をみてみると、100人未満の企業(約14%前後)の方が、100人以上の企業(7~9%)よりも水準は高い(図2)。規模の小さい企業の方が女性活躍は進んでいることがわかる。
女性の場合、管理職になることで仕事と家庭生活の両立が難しくなるため、管理職になりたがらないといった問題が指摘される。そこで、男女別に、課長級未満と課長級以上の正社員について、仕事と家庭生活の両立にストレスを感じる割合の比較を行った(図3)。男性は、管理職になることで、両立にストレスを感じる割合が減少するのに対し、女性は微増している。女性の場合、管理職になっても家事などが軽減されるわけではなく、一方で仕事の負荷は高まる。女性に関しては、管理職になるとますます仕事と家庭生活の両立が難しくなっているというのは事実なのだろう。
女性活躍を推進するためには、女性の管理職登用を積極的に行うとともに、仕事と家庭生活を両立しやすいように、テレワークの推奨など働き方の柔軟性を高めるなどの取り組みも重要になっていくだろう。企業による一層積極的な取り組みに期待したい。
※政府目標:2020年までに指導的地位(法人・団体等における課長相当職以上)に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする。
図1 課長級・部長級に占める女性比率の推移
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
図2 従業員規模別の課長級以上に占める女性比率の推移(正社員)
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2019」
注:正社員に限定している。xa16、xa17、xa18、xa19を用いたウエイト集計を行っている。
図3 仕事と家庭生活の両立にストレスを感じている割合(正社員、性・役職階級別)
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」
注:正社員に限定している。従業員規模が官公庁(公務)である場合を除いている。仕事と家庭生活の両立にストレスを感じているとは、「あなたは、昨年1年間、ご自分の仕事と家庭生活の両立についてストレスを感じましたか」に対し、「強く感じていた」もしくは「感じていた」と回答した人の割合である。xa19を用いたウエイト集計を行っている。
文責:孫亜文(アナリスト)
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