満足度(2019年4月版)

2019年04月26日

「定点観測 日本の働き方」最新値はこちら

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、仕事に満足している割合、生活に満足している割合をそれぞれ算出すると、2017年は仕事に満足している人は38.3%、生活に満足している人は51.5%と、2016年からわずかに減少した(図1)。仕事に満足している人は直近3年間で大きく変化していないのに対し、生活に満足している人は増えている。働き方が柔軟になることで、仕事と生活を両立しやすくなり、生活に満足する人が増えたと考えられる※。

男女年代別にみると、男性よりも女性の方が、現役世代よりも60歳以上の方が、仕事でも生活でも満足している割合が高い(図2)。一般的に、女性や60代以上の人は幸福度が高いとされる。男性や現役世代と比べて、時間の融通が利く働き方をしている人が多く、ワーク・ライフ・バランスを保ちやすいことを考えると、働き方の柔軟性が満足度に影響を及ぼしている可能性が指摘できる。

30~50代の男性正社員に限定して、働き方の柔軟性および週労働時間別に仕事・生活に満足している割合をみると、柔軟性がある働き方をしている方が、仕事でも生活でも満足している割合は高い(図3)。週労働時間では、労働時間が短い方が、満足している割合は高いものの、柔軟性と比べると、満足している割合の増加幅は小さい。多くの人は仕事や生活に満足しながら働き続けたいと考えるだろう。そのためには、ワーク・ライフ・バランスを保つ必要があり、長時間労働の是正、テレワーク制度の導入拡大、有給休暇取得率の向上など、働き方改革による多様で柔軟な働き方の推進は、生産性の向上だけでなく、より良い暮らしの実現のためにも必要となるのではないだろうか。

※野村旭「働き方が仕事満足度・生活満足度に与える影響」(リクルートワークス研究所ディスカッションペーパーNo.21)の分析結果によると、柔軟な働き方は、仕事満足度と生活満足度を高め、生活満足度への影響の方がより大きい。

図1 仕事や生活に満足している人の割合
11-1-1.png
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2018」
注:仕事に満足している割合は、「仕事そのものに満足していた」の項目に対して、「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」と答えた人の割合であり、1年間に少しでも働いた人を対象にしている。生活に満足している割合は、「昨年1年間のあなたの生活全般について、どの程度満足していましたか」の設問に対して、「満足していた」「まあ満足していた」と答えた人の割合である。x16~x18を用いたウエイト集計を行っている。

図2 男女年代別の仕事や生活に満足している割合(2017年)
11-1-2.png
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注:x18を用いたウエイト集計を行っている。

図3 働き方の柔軟性・週労働時間別の仕事や生活に満足している割合(30~50代の男性正社員、2017年)
11-1-3.png
出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018」
注:x18を用いたウエイト集計を行っている。

文責:孫亜文(アナリスト)
「定点観測 日本の働き方」一覧へ戻る