アジア・オセアニアの人材採用の特徴

2015年05月22日

アジア

アジア各国における急速な経済が成長は、専門職や管理職の需要を高めた。特に多国籍企業での勤務が可能な人々の需要が高まっている。アジアの国々にも、通常の採用経路はすべて存在するが、経験のある管理職は直接リクルーターや紹介業者から電話がかかってくるのに慣れている。求人企業側からアプローチするため、自分たちで求人広告を探す必要はなかった。同様に、成績優秀な新卒の学生についても企業は獲得競争を繰り広げている。

アジアの発展途上経済におけるリクルーティング市場は未成熟である。チャップマン・コンサルティング・グループのCEOであるマット・チャップマン氏によると、「同じようなソーシング・メソッドはより成熟した経済にも存在するが、彼ら(アジア)の場合はまとまりがない。米国ではほとんど全員がLinkedInに登録している。東南アジアでは必ずしもそうではないし、ひとつの主要なジョブボードというものも存在しない。これは紹介業者がこれほど成功している理由のひとつだ。人材探しにおいて、ネットワークと人間関係は欧米よりももっと重視されている」

経済の変化とともに状況は劇的に変わることもある。不況下では求職者はアプローチされるのを待つよりも、求人情報を探そうとするだろう。リクルーティングは、常にその時期、その場所、その状況に影響を受け変化する。
その場や状況に合わせて変化した良い事例は、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(以下IHG)である。IHGが中国で人材探しを開始した当初は、上位の大学の新卒を採用するというアプローチだった。これは、他の多くの企業が同じ人材を獲得しようと激しく競争していたため、困難であることがわかった。IHGは手法を変えて、ホテルをオープンする地域にある大学と関係を構築し始めた。IHGはさらにこれらの大学と連携して適切なカリキュラムを共同開発した。この戦法は中国での人材獲得において非常に有効であった。
IHGの例から学べることは、上位の大学からの新卒採用を避けることではなく、特定の時期の特定の国での状況に注意を払い、いつでも合わせる準備をして、その人材市場において成功するためならたとえ突飛な策だとしても取り入れていくことである。

近年の興味深い変化と言えば、ある世界的に有名な会社の知覚価値である。アジアでグローバル企業と言えば、かつては候補者にとって一番の選択肢だった。しかし現在、候補者は地元企業を選ぶ傾向にある。その地元企業の方が早く出世できるのであれば、特にそうである。同様に、候補者は以前より最高の機会は地元の近くにあると考えるようになっており、海外滞在を求められるキャリアへの興味が薄れていると思われる。

まとめ

人材探しの戦術において、国ごとの違いはあまりないように見えるが、各国に「微妙なニュアンスの違い」が存在することを理解しなければならない。さらに、どのソーシング・テクニックを使うべきか、それぞれの職種、企業、経済状況、時期によって異なる。

採用を成功させるには、地元で力強いパートナーを得て、その労働市場特有のベスト・アプローチを模索する必要がある。また、リクルーティングは、求人が出たポストを埋めるだけの短期的なタスクではなく、多角的で流動的な過程だととらえることも大切である。企業は、ウェブ上(各国の言語)でポジティブなイメージを築き、候補者が求職活動をするときに好印象を持たれるように努力するべきである。地元の大学、協会、および商工会議所などとの関係構築では、一朝一夕に人材を獲得することはできないが、長期的には効果を発揮する。
人材を獲得するターゲット国で採用を強めるための先行投資は、その国での成功の鍵となることもある。