世界各国における最良の採用経路は何か?

2015年04月24日

「諸外国における最良の採用経路とは何だろう?」答えは複雑である。なぜなら、最良の採用経路は、職種や会社によって異なるからだ。「効果的な採用経路を探しているときに気をつけるべきことは何だろう?」という問いのほうがより現実的である。

採用経路

先進国における典型的な採用経路は何だろうか?
キャリアクロスロードの調査によると、米国の大手企業の採用経路は下記のとおり多種多様である。
・従業員リファラル
・企業ウェブサイト内のキャリアページ
・ジョブボード
・直接(企業リクルーターが直接候補者を見つける)
・大学
・元従業員の再雇用
・ソーシャルメディア
・印刷物
・テンプ・トゥ・ハイヤー(派遣社員が従業員として正規雇用されること)
・キャリア・フェア
・飛び込み
・その他

リクルーターにとって、上記の分類はとても役に立つ。しかし、各項目の中には多数の要素が含まれているので、単純ではない。例えば、ジョブボードを使うと決めても、どのジョブボードを使えばよいのか、また悩むことになる。大学から直接採用しようと決めてもどの大学のどの学部が、理想の人材を見つけるのに最も適しているかという問題に直面する。

環境が常時変化し続ける中、リクルーティングも複雑化している。近年の経済状況は人材探しの難度と手法に大きな影響を及ぼしている。同様に、テクノロジーは日々進歩している。印刷物はどんどん役に立たなくなる一方で、YouTubeやTwitterが利便性を向上させている。数年後には最先端テクノロジーはまた変わるかもしれない。

リクルーターの価値とは、「特定の時代の、特定の国の、特定の職業にはどの採用経路が最適かを理解している」ことであろう。

人材採用の共通点は何か

今回のレポートは、世界各国の採用の手法はどのようなものか?という疑問に始まった。
しかし、どの国からも同じ答えが返ってきた。
「すべての手法を使っている」
HRフューチャーズのマネジング・エディターであるケルシー・ホスキング氏によると、「南アフリカのリクルーティングは他国のリクルーティングとあまり変わらない。企業は良い人材を獲得するために日々戦っている。どこでも同じで、候補者を見つけるかはどこで人材を探すかで決まる」

「どこで人材を探すか」はリクルーターと求職者の双方にとって難問である。
これはどの国でも同じである。(日本の採用手法にはほとんど使われていないが)例えばタイのLinkedInには、求人広告を載せたり求人情報を探したりできるグループが"72グループ"存在する。どのグループを使うか、またLinkedIn自体を使うかどうかは、リクルーターや求職者の判断力、経験、そしてある程度の実験が必要である。

スタッフィング.orgのCEOであるデヴィッド・アール氏は、「人材のソーシング業界は、特に新興市場では、各社のクオリティのレベルが混在している状況である。ジョブボード、人材紹介会社、レジュメ検索/作成サービスなどのクオリティを管理する機関が存在しない。企業も求職者も注意深く行動しなければ膨大な時間を棒に振りかねない」と話す。

企業は通常の採用経路を複数併用するという意味では、人材ソーシングはすべての国において同様である。しかし別の意味では、各国それぞれにその国での経験を積んだ人間しか知り得ない独特の「クセ」があり、従って採用経路は各国で異なっている。

新しい採用手法

各国ばらつきはあるものの、リクルーティングにおいて最も重要な新手法は、インターネット上のメディアである。そのひとつがYouTubeである。リクルーターが求人情報をYouTubeに載せるわけではないが、人材獲得においてYouTube動画が担う役割は重要である。例えば、インテルが技術者を採用しているときに、候補者がインターネットで「インテルの技術者」を検索して、インテルの動画を見つけたとする。候補者が申し込むかどうか悩んでいるとき、このような動画はテキストのみの求人広告よりも強いインパクトを与える可能性がある。

少し前まで職務について最も重要な情報は、求人広告自体に含まれていた。今日、候補者はウェブ検索をして、興味のある会社について、また別の会社の同じ職務についてなど、その職務に関するありとあらゆる情報を集めることができる。これは米国について特に顕著で、Glassdoor.comのような職場情報サイトやSalary.comのような給与情報サイトで、興味のある会社が良い就職先かどうかを調べることができる。フィリピンなどの国では米国ほど情報はないが、能力のある候補者は同様の過程で、ウェブ検索を行い、申し込むか否かを決断している。

もうひとつの新しいトレンドは、様々な採用手法をサポートするソーシャルメディアの重要性である。求人広告を企業ウェブサイトに載せても、候補者がその広告について知るのは、TwitterやFacebookかもしれない。同様に、良い企業イメージを構築し、候補者が申し込みたくなるようにしむけるためにも、ソーシャルメディアは重要な役割を果たしている。

新興国ではモバイルを利用

また、モバイル機器も世界中で重要な新しいトレンドであるが、特に人々がPCよりも携帯電話で情報を得ている新興経済において重要である。

すべての国において、現代の求職者はウェブで検索すれば世界中の求人情報を探し出すことができる。同様に、リクルーターもウェブ検索で、特にソーシャルメディアを使って、世界中の候補者を見つけ出すことができる。ジョブボードなどの採用経路の価値は、もはや掲載している広告数や登録している求職者の多さではなく、管理可能な規模に絞るのを手伝う機能に移行してきた。5年後、10年後、ソーシングの世界がどう変わっていくのかを想像するのは難しいが、大きく変わるであろうことは間違いないだろう。